Mar

あさがくるまえにのMarのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
4.5
ヒトの命の儚さ 脆さ 弱さ
その一方での強さ 美しさ 逞しさ

臓器移植というとても重いテーマではあるけれど、過剰に感傷に浸ることもなく、客観的に淡々と、でも丁寧に丁寧に物語が進んでいったのがとても良かった。
淡々としたなかでもハッとするほど美しかったり、胸が熱くなったり、何かを願わずにいられないようなシーンが随所にあって、見終わった今も頭から離れない。

恋人と迎える朝
夜明けのサーフィン
自転車で駆け抜ける街中
ポスタービジュアルにもなっている、あの空間での数十秒
生まれ変わったような、最後の清々しい表情

一瞬にして失われる命と、それを受け取って輝きを増す命の対比。

自分は幸いにも、近しい人を突然事故で失ったこともなければ、移植を待つような大病を患っている家族もいない。
けれど、明日自分が生きている保証なんてどこにも無いし、いつか大切な人を突然失ったりもするかもしれない。

そんな当たり前を人はすぐに忘れてしまうから、命について考えるきっかけをくれるこの映画を、自分の大切なひとたちにも観てもらいたい。
そんな風に思える作品。
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