あさがくるまえにの作品情報・感想・評価

「あさがくるまえに」に投稿された感想・評価

神戸典

神戸典の感想・評価

4.0
友達とのサーフィンの帰り、シートベルトをしていなかったシモンは交通事故で脳死した。
臓器を他の患者に回すためにドナーになってもらおうとする医者と悲しみにくれ現実についていけない夫婦の想いがリアルに描かれていた。
医者も決して心がないわけではない、少しでも多くの命を救うための選択だ。
しかし、それでもシモンの家族には冷たく見えてしまう。
そんななか、臓器移植コーディネーターであるトマは家族とシモンの気持ちに寄り添った。
このトマこそ作品における重要人物だった。両親がドナーを受け入れた事を担当医に告げるとその男はガッツポーズで喜んだ。しかしトマだけは去って行く担当医を見つめながらやり場のない表情を浮かべていた。
それはドナーと臓器移植者、さらにはその家族との間を取りもち、命を守ろうとしながら、動いている一つの命を終わらせてしまうという想像を超える選択をしなければならないからだ。
彼は作中でゴシキヒワをいつか飼いたいと言っている。さらに飼い主の気持ちがわかると言っている。
きっとトマは自分もゴシキヒワのように患者の気持ちに寄り添い知ることができれば患者が望む事をしてあげられるのにと思っているのだろう。

シーンは変わり1人の元音楽家クレールの物語に変わる。
彼女は心臓が悪く、いつ命を落とすかわからない状態にあった。
そんな彼女を心配そうに見守る兄弟。
クレールは心臓移植で他人の心臓をもらってまでいきたいと思わないと言う。
また、息子に心配かけまいと病状が悪化している事を隠し嘘をつく。
そんな母親に対して感情的になる兄。
とてもリアルな家族の心情を描いている。
ドナーがみつかりついに手術を受けることとなるクレール。
その心臓はもちろんシモンのものだ。

他人の命を受け入れ、新たな人生を歩んでいくクレールと、まだ若く愛する人や夢を持てたが一瞬のうちに帰らぬ人となったシモン。
2人の対照的な死と生、そして再生を美しく、清らかに描いている。

ル・アーブルの美しい街並みやサーフィンの海のなかや波しぶき、手術室で覆われたシートのなかで両親の願いを叶える為シモンにイヤホンをつけ語りかけるシーンなど数え切れないほどに美しい映像が織り交ぜられた作品。
また、クレール役のアンヌ・ドルヴァルは『Mommy』での母親役とは全く逆の演技を見事こなしていた。
『Mommy』では自分たちだけの殻のなかで過ごそうとするが、今回のクレールは内気であるが最終的に他人の命を受け継ぎ生き続けようとする外に向けた強い意志をもっている。

作中におけるピアノの旋律も情景をより色付けており素晴らしかった。
また終始呼吸の音や息といったものを意識的に強調していた。

タイトルの『あさがくるまえに』が示すようにこの作品はシモンが朝脳死してそれから臓器移植しクレールが目覚めるところまでがちょうど1日しかたっていない。
1日でこうも人生は変わる、そして止まらずに進み続ける。

誰にでも訪れる突然の死。その死を受け入れざるをえない人々の想いと、将来を生きたい患者の願いとの交差を見事に表現し、命の大切さを壮大に伝えている。

この作品で日本デビューとなったカテル・キレヴェレ監督の全てがとても気に入った。
えりな

えりなの感想・評価

3.8
昨日から謎にセンチメンタルな気分だったからよりしんどかった。
もし自分が脳死したら使える臓器は使って欲しいと思うけど、それが家族だったり恋人だとしたらきっと受け入れられない。
まだ子供はいないから親の気持ちはあまりよく分からなかったけど、恋人の立場になって観てみたら辛すぎた。
子供が出来たりして状況が変わってからもう1回観たらまた違う感情が生まれると思う。
moeno

moenoの感想・評価

4.0
秦基博の「朝が来る前に」と同タイトルのこの映画のコラボ動画をYouTubeでみてからずっとみたいと思ってた映画。台風で暇だったのでアマゾンでレンタルした。

ずっと暗めでゆっくりと話が進んでいく感じ。後半の移植手術のシーンはこんなの今までみたことないと思った。
唯一最後のシーンで画面が明るくなるけど、なんかここから新しいストーリーが始まる感じが窺える。(うまく説明できない。)
同じ時間生きてて、本当に全く違う人生歩んでる他人に自分の一部が使われることになるって本人含め家族手術する医者色んな人の気持ちに考えさせられる。

映画見終わってからまたYouTubeの動画を見たら感動もんだ。
いってきます!

愛する人の最後の言葉がサヨナラでなかったら・・・

誰にでもありえることであり
直面したくないことでもある

命を愛する人の中で終わらせるのか
誰かの愛する人の中で脈打たせるのか

愛する人の身体がまだ温かければ
あきらめの悪い自分は最後の奇跡を望み続けるだろう

おかえりなさい!

もう一度だけでも最後に言いたい
世界中のどの家族もそれだけを望んでいるはず

あさがくるまえにもう一度だけ
LUKESIS

LUKESISの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

脳死、臓器提供。
サーフィンからの帰り道が徐々に海の景色に変わっていくシーン、医者が手術台の上で好きな曲を聴かせてあげるシーンが印象的で、
シモンがどんな人生を生きていたのか、彼の青春を感じられる見せ方も良かった。
命がつながっていく。

愛、死、生、苦しみ、悲しみ、不条理
言葉は出そうと思えば出てくるけど、しっくりした言葉が思い浮かばない。

そして映像や構図がいつも綺麗。
杏

杏の感想・評価

3.0
うーん
んー
私はやっぱドナーにもレシピエントにもなりたくないな。

シモンから心臓を摘出する時、あの場にいた人たちの中でトマだけが人間だったな、
と感じてしまう。
みみ

みみの感想・評価

4.2
全体的にすごくきれいな映像。
身体は生きているのに死んでいる状態。
あるようでないような感覚。
みんな言葉少ないのに何かグッと伝わってくる。
命のリレーはこんな形でもつながっていくんだな…
臓器移植に関わる人々の日常を淡々と映す。淡々としてるのに、淡々としてるから?いろいろ考えてしまう。すごい映画。
臓器移植、人の命で人の命を繋ぐ。
リアルな手術シーンからの目覚め。
人間ってすごい。奇跡だな。
みどり

みどりの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃに美しい映像

ドナー側も辛いけど、医療者側とレシピエントの葛藤も相当だよねって

心臓摘出前にイヤホンを付けてあげるところ
シモンが泣く彼女を振り返りながら窓から飛び降りるところ

邦題を全部平仮名にした人天才なのかな
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