みボ

ブルックリンの片隅でのみボのレビュー・感想・評価

ブルックリンの片隅で(2017年製作の映画)
3.5
顔のアップが多くかなりプライベートフィルムっぽい作りになっててあんまりストーリーに起伏があるわけじゃないんだけど何故か退屈せずに最後まで見れた不思議な映画。
役者の表情がいいからなのか、セックスシーンが結構大胆に描かれていたからなのか、あと無駄に長回しのシーンがなかったからかな。

さざなみの音がすごく印象的だった。寄せては返す波の音が不安定な思春期の心情を表してるようだった。

主人公のフランキーは女の子と付き合いながらチャットで出会った男とセックスしていて、やってることはかなり最低な部類なんだけど何故か憎めなくて、むしろ可哀想にすら思えくるので、途中から彼のお母さんと一緒になって心配しながら見ていた。
お父さんの影を追うように中年男性に惹かれてるところも彼の可哀想さを助長させてたのかも。

性的指向で悩む映画に対して普段は全然共感できないんだけど、この映画は「誰かに嫌われたらどうしよう」じゃなくて「こんな自分を認めたら死んでしまう」という絶望感があったから、LGBT当事者じゃなくても、何かしら自分自身を認められない人も共感できる内容になってたと思う。

作中で「女同士のキスはエロいけど男同士のキスはただのゲイよ」っていうセリフがあるんだけど、そのナチュラルな偏見や見下し方がめちゃくちゃキツかったな……。
女同士のキスもただのレズだし男同士のキスもエロいよ!
みボ

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