でんき

ミスター・ガラスのでんきのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
2.7
『アンブレイカブル』で提示された“可能性”、そして『スプリット』で広がった世界観、果たして『ミスター・ガラス』では何が始まるのか?

M・ナイト・シャマラン監督に期待し過ぎました。『アンブレイカブル』から何も物語が動いていません。シャマラン監督には全権を握って『ミスター・ガラス』を製作するために、この作品の予算は自腹だったという逸話がありますが、それよりも客観視が必要だったのではないか、と思えてなりません。

内容は『アンブ~』の焼き直しで、アメコミヒーローモノの縮小再生産でした。そのジャンルの映画を何作か観れば分かる事を登場人物がベラベラ喋ります。クライマックスは適当に決着がつきます。ついに“ヒーロー”と“ヴィラン”の闘いが始まりますが、謎の組織の手によって両者死亡に終ります。この物語のヒーローであるデイヴィッド・ダンは、『アンブ~』の主人公だというのに救いがありません。いわゆるマキナ展開を堂々と観せられて作品への興味がいっきに醒めていくのを感じました。

ひっそりと公開されたこの作品は、確かにこの内容では宣伝に予算を使って、できるだけ多くの劇場で上映して大勢の人に観てもらうには無理があります。でもシャマラン監督のたいして面白くもない話に説得力を持たせて観る者を煽る上手さは見事でした。だってこの物語を信じることができたら、もしかしたら自分にも特別な力が......って想像してしまうじゃないですか。しかし“オオサカ・タワー”破壊デスマッチ見せてほしかったです。
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