このレビューはネタバレを含みます
初めてこの監督の作品を観たが、ストーリーと世界観の奇妙さ、インド映画ということに衝撃を受けた。
デイヴィッド・リンチやヤン・シュヴァンクマイエルの作品が好きな人にはハマる作品だと思う。
前半は正直ストーリーもよくわからず、観るの辞めてしまおうかと思ったのだが、中盤、トランプの国に辿り着いてからが、怒涛の奇妙な面白さ、ストーリーの風刺が効いていて面白かった。
恐らく低予算で作られたのだろうとわかるのだが、トランプ兵達のコスチューム、統制された動き等、カメラワークによってむしろ、その低予算、チープっぽさが、世界観と非常によくマッチしていた。
トランプ兵達が、自分たちの意思を持ち、統一されたコスチュームや化粧を落とし、自由になっていく演出が非常に良い。
奇妙な世界観なのに、統制、抑圧された社会からの脱却、自由を目指すという風刺の効いたストーリーがスッと入ってくる。
アップの多いカメラワーク、多重露光、映画ではほぼ使われない分割されたカット、衣装、妖艶な音楽等により、非常に奇妙で摩訶不思議な世界観がに引き込まれた。このような世界観でしっかり風刺の効いた作品を作れる才能に脱帽した。