ゴロクロ

米軍が最も恐れた男 その名は、カメジローのゴロクロのレビュー・感想・評価

3.3
不屈という瀬長亀次郎が大切にしていたという言葉が興味深い。亀次郎の演説を聞きたいと集まった市民は多い時で十数万人に達したというが、民衆の多くが亀次郎を「不屈」のひとと呼ぶ。生前の亀次郎を語る娘さんによると、亀次郎が不屈という言葉が好きなのは自分を応援してくれる市民ひとりひとりの瞳のなかに圧政に屈しない意志のひかりが宿っていてそのことに勇気付けられるからなのだと。相手の瞳の奥に、他者のなかに理想や生きる価値基準を見いだす関係性が瀬長亀次郎と沖縄県民にはあったということ。
これを書いている2018年12月15日現在、フランスでおこった「黄色いベスト」運動のことを羨ましく思わないではいられない。マクロン政権の自動車燃料税引き上げに反対するデモは数十万人規模に達したとと聞くが、国政にかなりの影響を及ぼしつつあるようだ。ひるがえって第二次安倍政権以降、庶民の暮らしは苦しくなるばかりだが、大規模なデモがいっこうに起きないのがこの国だ。県知事にデニーを選んだ沖縄県民の民意を無視して辺野古の海が破壊されようとしている。「日本のデモクラシーは断崖絶壁の縁にある(マガジン9、12月12日付、想田和弘)」というが、わたしもあきらめるわけにはいかないと思えた。