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少女ファニーと運命の旅のtoyocaのレビュー・感想・評価

少女ファニーと運命の旅(2016年製作の映画)
4.2
久しぶりの映画館。友人に、あなたが好きそうなやつで、フランス語も浴びれると聞いて、鑑賞。結果、すごく良かった。

ファニーの力強さや責任感の強さに感心しながら、実話を基にしているとなると、より感情移入してしまう。第二次世界大戦時のフランスでのユダヤ人迫害は、『黄色い星の子供たち』『サラの鍵』で知っていたから、物語にはスルリと入れた。

しかし、支援者たちが次々と捕まったりする中、子供たちだけでスイスへ亡命する旅を続ける姿に、世界中の大人たちは、こんな子供に何させとんねんと、怒りを覚えた。大人の事情に巻き込まれた無力な子供たち。ただ、必死に知恵を絞って逃げる姿に、子供も馬鹿じゃないんだ、一人の人間なんだ、と訴えかける強さがあった。

「私たちはユダヤ人なの?じゃーやめたらいいんじゃないの?」「ダメだよ、やめれないよ」という子供たちのやりとり。『沈黙』を思い出した。信仰とは体に染み付いて、捨てられるようなものではないんだろう。わたしはそういった信仰がないから的はずれなのかもしれないけれど、結局信仰も大人から渡されるもので、大人の事情の押し付けなのでは。。と、信仰を理解していない子供と理解する子供の、境目を見せられたせいで変な感覚に陥った。きっと、監督の狙いはそこではないとは思うのだけど。。

ハラハラする旅のラストに希望を見せてくれた事で、とても良い映画だったな、と思うことが出来た。陳腐だけど、繰り返してはいけない事なんだと、分かりやすく教えてくれる映画だったと思う。
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