この映画を観て、一年前死んだおじいちゃんが思い浮かんだ。
地元から離れた東京に住んでいる僕は母から『おじいちゃん、会いたいって。』の報告を受け夜行バスで地元に向かう途中に僕のおじいちゃんは死んだ。
地元に着き公民館みたいな場所に連れてかれ死んだおじいちゃんの顔を見た。痩せこけていた。
しばらく時間が経つと兄妹達親戚共、元ヤクザだったおじいちゃんの弟子達が続々と現れる。誰も泣かない。呑んだくれるオヤジ達と過去のおじいちゃんの思い出話に花を咲かせるヤクザ仲間たち。
御葬式で初孫だからを理由におじいちゃんに手紙を読む事を任された僕。
お坊さんが現れる。意味のわからん呪文を唱え、たまに僕ら家族も唱えさせられる。弟と笑いながら唱える僕らクソガキ。
棺に入ったおじいちゃんの顔の周りに花を添えた後に1人三回ずつ釘を叩く儀式。
そして葬儀場に移動し僕は手紙を読む。
『お別れの言葉おじいちゃんへ
いつかお別れをする日が来るのだとは分かっていたのですが、まさかこんなに早くその時が訪れるとは、思ってもみませんでした。
まあ今の言葉はネットからコピーしてきたことばです。
僕はじいちゃんにとって1番目の孫でした 僕が生まれた時 じいちゃんは笑っていましたか?喜んでいましたか?
たまに家族でアルバム写真を見るのですが僕達孫と写った写真は一つもありません。
というかじいちゃんが写ってる写真は家にはたぶんないです だからじいちゃんの顔すぐ忘れてしまいそうです
自分はおととい、生きてるじいちゃんに会うために東京から来たんですけど、夜行バスで宮城に向かってる途中に母親から間に合わなかったという連絡がきました
それから夜行バスの中でじいちゃんを振り返ってみました。普通優しくしてもらった事とか思い出すはずなんですけど、一つもなくてですね、
思い出せたのは、じいちゃんと弟とかな?小学生の頃3人でまるまつにご飯を食べに行った時の話なんですけど。まあご飯食べて会計の時にですねあ、まあたぶんあんまり自分も覚えてないですけど高かったんでしょうね値段が ブツブツ文句を言いながら支払いして最後に店員の人にレシートを投げつけたんですね笑 あの時面白かったですね笑 はい笑
あと、電話で大きい声出されたりですかねえ 怖かったですねえ そのくらいですね覚えてるのは
母親からもじいちゃんは乱暴な人だと聞いていたので僕達から好んで近づいたことはないですね怖いんで笑
で、自分たち岐阜に六年住んで宮城に帰ってきて、自分たちが割と大人になった様を最近じいちゃんに見せに行った時は、なんかじいちゃん優しくなった気がして、年を取ると優しくなるんですかね、
脱腸の時に病院に御見舞に行った時、あんな大きな体で背中にドラゴンのタトゥーなんか入れちゃってたじいちゃんがほんとに細くなっていたのでかわいそうだなあ 小さくなったなと感じましたね。
割と今になって笑ってる顔とか思い出せますし、会話少ないけど、入れ歯の口から発する聞こえにくい分かりづらい言葉とかも今ではなぜか思い出せます。
そして、母からじいちゃん胃癌で余命1年を宣告されたと聞いた時には心の準備ができる余裕はあるなと思っていたんですけど、一週間、二週間するともう今月もたないって連絡きてですね なんかもうじいちゃんより病気の方が怖くなりましたよね
で、宮城帰ってきてじいちゃんに線香あげて棺桶に入ったじいちゃんの顔をみると、ほんとに亡くなっちゃったんだなって
まあとりあえず78年間お疲れ様でした。
母を産んでくれてありがとうございます。
では、、、また』
泣き出す母と弟達。
終
劇中では、吉子がおじいちゃんが死んだ時SEXをしていた罪悪感をお坊さんに相談していた時の『それが世の常です』という台詞が一番強く印象に残りました。
予告編で笑わせにきてると思ったおばあちゃんの台詞の『おじいちゃーーーん』と叫ぶシーンは涙がポロポロと出てきた
やっぱり映画を観ないと分からないことって必ずある。