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BPM ビート・パー・ミニットのminayoのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

カンヌ国際映画グランプリ、フランスの栄誉あるセダール賞も6部門受賞という本作。
舞台は90年代初頭のパリ、AIDS治療に対して薬の効果がみられ始めた95.6年より少し前。
多数の死者をだしAIDSが“死の病”であった時代。
当時はまだまだAIDSに対する偏見が持たれていたそうです。

冒頭の“検査結果が陽性であろうが、ACT UPの活動に参加すること自体で感染者という目でみられる”というセリフや、高校でコンドームを配布した際に「ホモじゃないから 」と言い放った女の子のシーンはまさに当時の様子を顕著に示したシーンだと思いました。
また、AIDSはゲイや麻薬愛用者から多く発症したことにより、天罰というように言われていたそう。
彼らは病気と同時に、そう言った風評や誤った知識をもつ人々と戦ってきたのでした。
作中にでてきた“無知は敵 知恵は武器”というキャッチフレーズがとても印象的でした。
知らないから怖い。怖いからこそ人伝に聞いた噂話を信じてしまい、人を傷つけてしまう。
もう少し視野を広く、知る努力をできたらな。

真紅に染まった川や、クラブでキラキラ光る埃が舞うシーンがとても美しかったです。
偽物の血をぶちまけたり、製薬会社に押しかけるといった行為は実際に行われた活動内容と聞いて驚きました。
こういった目立った行為では、大事なこともすり替えられてしまったりするのでは?と懸念があったが、トークショーで「病気が過激。政府の見て見ぬ振りも過激。彼らは過激な行為を行わざるを得なかった」と聞き納得しました。
タイトルになっている BPM は心拍の速さを示す単位であるとともに、音楽のテンポの意味合いを持ちます。劇中でも四つ打ちの音楽が印象的でした。
そして、それに反して無音のエンドロール。
過激な抗議活動や白熱した討論が多くみられたのちに訪れる静寂が余韻を残します。
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