ロバン・カンピヨ監督作。カンヌ映画祭審査員グランプリ・セザール賞作品賞。
90年代初頭、監督がエイズ活動家団体ACT UPのメンバーだった自身の経験をもとに若者たちの恋と葛藤、人生の輝きを生き生きと描いた青春LGBTフランス映画。
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BPMというタイトルからしてクラブミュージック好きとしたは足を運ばざるを得ず鑑賞。この時代ゲイの象徴としてのニューヨークで誕生したエイズ活動家団体『ACT UP』とゲイDISCO『パラダイス・ガラージ』を重ねてるのだろうか。劇中クラブシーンで流れる音楽もガラージだった。
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近年のとにかく多様性を重視しがちな映画界における『どのマイノリティを描くか』の一つに答えかつ、監督自身が当事者であるがゆえのリアリティの強度で勝負。その点で評価を得た作品という印象。評判も頷ける。
ただ、当事者達の活動への感情がイマイチ自分には伝わりづらく感じた。
当時まだ死の病だったHIV陽性患者達のエグい境遇を描くのに外部との対比を使わずに『過激にならざるを得なかった当事者達の行動』や内部事情や内部の日常重視で描いてるわけだが、やりすぎ!とひいて見ざるを得ない。
活動そのものを楽しんじゃって目的化してる感じも見てて気持ち良いものではなかった。いや、『過程を目的化しないと生きていけない』という意味ではその楽しんじゃってる感こそ彼らを唯一救うものである、という見方もあるけど、自分は『弱者である事を盾に戦う』という事を少し卑怯だと思ってしまった。
何が言いたいかって、確かに当事者達をきちんと描けてる分リベラルな価値観の人は感動するとは思うけど、この映画を保守的な人間が見たら嫌悪感を抱くだけなんじゃないかと思って、それって意味ないんじゃないかとも少し思った。