百合

バック・トゥ・ザ・フューチャーの百合のレビュー・感想・評価

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隅々まで天才ゼメキス

何回も何回も地上波で見かけておりましたがこの度きちんと見ようと…おもしろいな!ほんとにおもしろい!やっぱおもしろい!天才だ!
85年、自分の生まれる10年も前のSFの認知度がわからないのだけど、タイムパラドックスの概念はどの程度知られていたのだろう?わかりやすくするために写真を使っていたんだろうな。頭のいい人は難しいことを簡単に説明するのが上手というが、本当にそうだなと。
それぞれのキャラ設定も簡潔かつ魅力的で、気が利いていて最高ですね。気弱な未来の父、ませた未来の母、いじめっ子、先生、ドクと高校生のぼく。単なるタイムスリップ、タイムパラドックスものに、未来の両親のラブコメを絡めた脚本の勝利でしょう。
小ネタはあげてゆくとキリがないのですが…(チャック・ペリーとかな「君らの子供はわかる」っていうシーンはもうニヤつきが)
あとドクと高校生の少年の友情ともいえる絆が魅力的でしたね。変人と忌み嫌われているドクに、主人公は評判を意に介すことなく友好的な態度をとる。ドクも30年前も今も、同じように彼と対等に関わってやる。ハイスクール時代の情けない父親を見て、「君は養子かな?」と言うところが好きでした。あとほぼ100パー汚ねぇ白衣だけどあの時だけちょっとお洒落だよねドク…
未来の自分のお母さんに言い寄られた時、断りあぐねる主人公なのですが、「ぼくはゲイなんだ」というウソでもよかったのでは?と少し思い、しかしこの頃の製作陣の発想にはなかったのかなあ…時代だなあ…と思いました。確かヒッピームーブメントの中でゲイがセクシュアリティとして認知されだしたのが69年だったと思うので…
ラストの電線を繋ぐシーンはまさにパニック大作ブームの寵児で、遅延される喜び、カタルシスの演出も巧みではないでしょうか。(個人的にはパニック映画はあまり見ないので少し飽き飽きしたけど…)
横長の画面いっぱいに展開される奥行きの構図、快感をともなって広がるそれは、未来へつながるという意志を強く感じます。
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