トゥーン

旧支配者のキャロルのトゥーンのレビュー・感想・評価

旧支配者のキャロル(2011年製作の映画)
4.0
執念の漂う映画。自主制作映画の限界。
映画には人をつぶすとかつぶさないとかあるけど、実際はただ一人で勝手につぶれていくだけ。それが正しいかは知らんけど。
冒頭のいかにも自主制作映画なコメディと照明によるチープさの漂う画作りはわざとだと思う。中盤以降はその感じが少し弱まっていたので、意図的なものが含まれていると思われる。若手監督は旧支配者である先生を越えようとしていた。最後に雷を落として破壊するように、自分の力で、自分の映画によって、内々の枠を超え、外部に向けて改革をしようとする志があったのかもしれない。しかし、結局は無理だった。
この映画自体、映画学校の生徒と講師くらいしか出ておらず、外部による評価がされていない。凄いと言われている講師の世間的評価や作った人たちだけで褒めている映画内映画の実際的な面白さについて触れられていない。つまり、かなり狭いコミュニティの中でしか物事が進んでいない。自主制作映画の限界、多くの自主制作映画は内々で褒め合い、崇めて終わるだけ。そんな状況下で、改革は夢の話。若手監督は講師に現実で踏みつけられた時点で負けてしまった。後に踏みつけ返したのは演技指導でしかないので。講師を否定しきるところまでいかないと、内々感からは抜け出せなかったと思う。旧支配者である講師のキャロルだな。
それにしても、執念込めて作った作品が別の人に勝手に撮られるのは辛いな。
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