サトモリサトル

女であることのサトモリサトルのレビュー・感想・評価

女であること(1958年製作の映画)
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原作を読んだことがあるのでどんな風に映画化されているのかと思い観賞。
原作の文庫本がかなり分厚く、長大な話なのを川島雄三らしくかなりテンポ良く話を進めていく。

さかえが大阪から家出して東京駅のステーションホテルに泊まることになるまでの経緯が原作ではかなり頁を割いて書かれているのに、映画だとバッサリカット。
因みに映画が始まってすぐ、自転車で大阪の街を走り抜けるさかえのロングショットが挟まれている。大阪シーンはそれだけ!
「何処行くん?」と聞かれて「わからへん!」と言いながら颯爽と走り去っていくさかえ。そのまま家出したのだろうか。
この冒頭のシーンがかなりシュールで違う映画が始まったのかと思った。しかも顔を全然映さないし。あれきっとスタンドインなんだろうなあ。

タイトルバックに流れる美輪さん(丸山明宏)の歌はインパクト抜群だった。作詞は谷川俊太郎氏。

元々、原作もかなり摑みどころのない話だなあと思いながら読んでいたけれど、途中中だるみ感があってすごく眠くなってしまい所々記憶がない。
ロケのシーンが多かったのは嬉しかった。
香川京子と石濱明が2人で話している、皇居のお堀端近くの岩がゴロゴロしてる場所が気になった。

後は、原節子の友人役の丹阿弥谷津子と菅井きんが良い味出してるなあとか、山本学さんが若い!とか、中北千枝子は今回も不機嫌そうだなあとかを観ながら楽しんだ。

最後、京都の父親の所へ行くと雨の降る中走り去って行く久我美子と呆然と見送る原節子のロングショットは美しいなと思った。同じ川端康成原作の「伊豆の踊り子」や「古都」を彷彿とさせる名場面。

2016.9.21 神保町シアター