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ラッカは静かに虐殺されているのtoyocaのレビュー・感想・評価

5.0
シリアの現状のドキュメンタリー作品を連続鑑賞。最初に興味を持ったのが『ラジオ・コバニ』だったけれども、こちらも合わせてどうぞと、前の回に上映していたこの作品が、『カルテル・ランド』の監督という事で、俄然興味が湧いて鑑賞。

イスラム国という、過激派テロリスト集団はもちろん知っている。日本のジャーナリストが殺されたのも、知っている。しかし、どうやってニュースとなって世に出ていたのか、知らなかった。情報戦争という意味も知らなかった。ISがイメージ戦略で仲間を集めていたなんて、知らなかった。

臭いものに蓋をしても、臭いは漏れる。銃創を手で塞いでも、血は溢れる。世界が見ないふりをしていても、現実は進行形。思わず買ったパンフレットには、ラッカの民間死者数は、ISを排除する為の米軍・有志連合の空爆が60%をしめると書いてあった。地域諸共、蓋をしたいのだろう。しかし作中で、ISとは思想だ、殺しても、思想は続いていく、と語られている。蓋の下から臭気が漏れ、新たな負の連鎖が続いていく、終わりのない絶望を感じた。

ただの一市民がやられっぱなしではなく、立ち上がり、手元のスマホで戦う現代の戦争に鳥肌がたった。大きな機材などなくても、やる気があれば、なんでも武器になるのだなと感心。今私に出来ることは、劇場受付に置いてあったRBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently :タイトルになった団体名、ラッカ静かに虐殺されている)宛ての募金箱に少しのお金を入るくらい。やらないよりはマシ。あとは継続して関心を寄せることかな。
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