saki

ラッカは静かに虐殺されているのsakiのレビュー・感想・評価

4.1
これはドキュメンタリー。切り取ったもの。部分。
それは当然の前提としての価値のある映像。

RBSSの人達の、あまりに壮絶な、勇気ある戦い。
その戦いの様が、戦いの全てなわけでもない。こうなった過程や始まりや積み重ねがある。人と歴史と。
それもまた当然の事として、けれども人には、その時できる事すべき事が決める事、その範囲があるわけで。

その極限の渦中の彼等が、ただ一人の人間として、訴えかけたもの。守ろうと、取り戻そうとしたもの。
営み。生活。柔らかな日々。

同じ時代に生き、輸出入等で世界中と関わっている私達もまた、この一瞬一瞬、無関係ではない問題の一つ。
思い馳せてばかりでは生きてはいけないのもまた確かで、揺れる他無く。
同時にまた、その国や宗教の問題、でもあるのだけれど。
全ては、側面。

アサド政権崩壊の隙を突かれたとはいえ、ここまでの事態になるとは。
政治の重み。

そうして、人はここまで残酷になれるとは。
歩くのも覚束ぬ子供にナイフを持たせ、神の名を唱えさせ、ぬいぐるみの首を搔き切らせる様は、背筋が凍る。
自爆の大半は子供。食べ物を娯楽を与えての洗脳。

日本は島国故にまだしも…と甘えながら、移民問題には、答えを窮してしまう。
受け止め切れぬまでも、叩き落とすような真似はしないで済むよう、とは祈りながら。
自分や家族が、手の届く人々が一番大事だけれど、そんなちっぽけなものだけれど、犠牲の上に成り立っているけれど、
それでも、どうか犠牲が少なくありますようという願いも、嘘ではないのだと。

己への制裁として親が殺される、その様をまざまざと映像で見せられた、数々の知り合いを失った、あの人達の壮絶な孤独は、計り知れない。
勇気と、他に道が無いというただただ不幸な現実。

戦争反対と唱えてるだけで避けられるものではない。それでも戦争はあまりにも悲壮に過ぎる。
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