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映画ドラえもん のび太の宝島のpenのレビュー・感想・評価

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少年の些細な憧れを切っ掛けに始まる、大海原への冒険。それをドラえもんという作品のフィルターを通せばのび太の気まぐれになり、ドラえもんによって壮大なごっこ遊びになる。そして大長編映画だから、ただの日常ではなくSF要素を含んだ壮大な物語となっていく。

非日常へシフトしていく為の緩やかな日常風景と流れる時間、状況に応じて必要なひみつ道具を使い分ける描写のスムーズさ、散りばめられた過去作の小ネタとドラえもんとしての要素を堪能。アニメーションとしてぐにゃぐにゃ動くのも観てて飽きない。
そこに本作には父子関係のドラマが盛り込まれ、感動面もカバーしている。

と、基本的には絶賛したいほど素晴らしい映画と思っているのだけど、本作はキャラクター描写の配分バランスがかなり危ういと思う。それは、ドラえもん側の面々とゲストキャラクターのバランスだ。一歩間違えたら一気に均衡が崩れるギリギリさ。片方に寄らないようになるべくドラえもん達を絡め、飽きさせないようにアクションを盛り込んでいるので、両方とも描写が濃い、ある意味緊張感溢れる内容。これ最初はもっとゲストキャラが目立ってた脚本だったのでは・・・と勘繰ってしまう。
脚本の問題でいえば過去作『日本誕生』見てるとどうしても気になる部分があって、壮大なSFストーリーが描かれながら、何だか限定的な世界の話になってしまっている印象も受ける。父子関係の話も感動はするが、個人的には『新・日本誕生』の母子関係の描き方の方が中心にのび太が据えられてて好きだ。

気になる点は色々あるがどの要素も一級品であることは間違いないので、売れる確信は生まれた映画。
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