木蘭

O嬢の物語 第二章の木蘭のレビュー・感想・評価

O嬢の物語 第二章(1984年製作の映画)
2.3
 『O嬢の物語』を1975年に映画化した作品の続編なのだが、原作から遊離した完全なオリジナルストーリー。

 前作から年月が流れ、中年期を迎えていつしかロワッシーの館を仕切る様な立場になったOが、依頼されて米国から会社買収の為に乗り込んできた資本家の家族をたぶらかす・・・という話。
 一応フランス映画としてフランス語が使われているが、明らかな吹き替え。

 色々とてんこ盛りではあるのだが、肝心な物は何一つ含まれていないという作品。
 前作の出演者が誰一人として参加していないのが辛いし、SM文学的要素はどこへやら・・・『O嬢の物語』を彩った印象的なガジェットも継承されず。
 わざわざ続編を作った意味とは?と思ってしまう。

 それでも一作品として傑出していれば良かったが、何処かで見た様な、何から何まで凡百の'80年代的エロ映画になってしまっている。
 1970年代と'80年代とでは、ファッションや色彩、演出などあらゆる部分で隔絶があり、前作との雰囲気の違いはいかんともし難いのだが、当時のパリのモードを前作の様に取り入れてくれていれば興味深かっただろうけど・・・今回はプロデュースのみならず、監督・脚本を手がけたエリック・ローシャには、その才覚は無かったのだなぁ・・・。
 
 '80年代的な軽薄でコミカルな演出と展開と思ったら、突然と豹変し、犯罪映画的な展開に・・・。
 しかも車に裸で縛って暴走って、マフィア映画かよ!
 ラストはたぶん、途中で終わらせる予定だったのが、後から文句言われても良い様に撮っておいたシーンを使ったんだろうなぁ・・・。
 一層の事、エロ・モリアーティ教授みたいなO率いる秘密結社と戦う話にしたら良かったんじゃない?
 
 有名な性愛文学を原作に1970年代中盤にジュスト・ジャカンを監督に迎えて映画化された・・・という共通項を持ちながら、かたやフランチャイズとして成功した『エマニエル夫人』と、失敗した『O嬢の物語』を比較するという意味では、興味深い作品だと思う。
木蘭

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