現れる小林

ミスター・ノーバディの現れる小林のレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
3.9
映像的にはかなり充実しているし印象的なショットもいくつかある。
エブエブとかBIG FISHみたいな感じで色々な物語が次々と展開する感じは好き。

バタフライエフェクトが大好きなのであのようなテイストを期待したがちょっと違った。

目まぐるしく色々なシーンが出てくるから退屈はしないのだが、「この行動をしたからこうなった」という因果に特に必然性がないからプロット的な盛り上がりやクライマックスなどがなかったのが残念だった。

火星のシーンや事故など映像的に派手で見応えのあるシーンが多く登場するのだが、全て本筋に直接的には関係ないのでただその場を賑わせる材料でしかないという感じだ。本筋は至ってシンプルで、主人公と3人の女性との恋愛だ。なかなか胸にくるシーンもあるのだが、やはり大風呂敷を広げた割に話のスケールが小さい。少なくとも私の好みではなかった。

プロットの根幹ではない要素をやたら豪華で綺麗な映像ややたらに情報量の多い編集で最大級のスペクタクルにしているので、何かすごいものを見ているような気にはなるのだが、数分に一回「これは何を見させてるんだっけ?」と我に返って冷めてしまう。そういう脆さがこの映画にはあるように感じた。