神に最も近い人間として有名なトム・クルーズが主演＆プロデューサーということで成功が約束された作品だったが、その大きな期待をさらに上回る出来に我々はトム・クルーズと同じ時代に生きていることに感謝することしかできない。前作から36年の時を経て、教官としてトップガンに戻ってくるわけだが、ここまで感動を与えられた作品になった理由として根底にあるものは、作品内の教官と教え子の関係性がトム・クルーズと若手俳優達たちとの関係性と完全にリンクするからだろう。作品内でマーヴェリックが圧倒的な実力と胆力で次第に教え子たちとの信頼関係を築いていくが、作品内でのマーヴェリックを見る教え子たちの目は演技ではない。実際に映画製作のためにF‐18に乗り訓練期間を経てから撮影を行っているとのことで国防総省の全面協力を得られたのもトム・クルーズだからだろう。CGでも十分可能な時代にあえてリアルにこだわったのは映画人として現在の映画界へのメッセージな気がする。実際、体重の何倍ものＧがかかり顔の皮がたるんで肺は押しつぶされて苦悶の表情を浮かべる俳優たちの映像は映画のリアリティと没入感を何倍にも押し上げている。作品の完成度を上げるために何が必要なのかを完全に把握してそれを実行に移せるトム・クルーズのプロデュース能力の高さに脱帽。ストーリーや演出もブラッシュアップされまくって文句のつけどころがない。とにかく最強の人類であるトム・クルーズに感謝する映画。映画館に常設するべき。
