RYUJI5471

ポルトのRYUJI5471のネタバレレビュー・内容・結末

ポルト(2016年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

最初に一言。この映画のレビューは超ネタバレが多く含まれているのでこの作品を観る前に絶対に読まないでほしいです!

早速だけど、話はぱっと見大人に見えるけど頭の中は小中学生のような26歳の男ジェイク(アントン・イェルチン )と年上の32歳の考古学の学生で知的で綺麗な女性マティ(ルーシー・ルーカス)の話。

この女性(マティ)が交際していた年上の恋人(男性)とその年下の男(ジェイク)とが女性の部屋で鉢合わせしてしまう。二人で部屋に入ったらまさかの別の男が部屋の中にいたという話。この恋人(男性)はマティがジェイクと昨日の夜に絶対寝ただろうと普通なら絶対そう思うと感じた。本当にかなり気まずい雰囲気になる。

この一見寛容に見える年上の男性(恋人)に年下の男ジェイクは最初は穏やかに話していたけど女性の恋人(男性)に対して最後にはクソみたいな暴言を放ってしまう。いくら寛容な人であっても本人の前にしてそこまで無神経なことを言われたら誰だって頭にくるだろうと思う。もちろん本人(ジェイク)は悪いことをやっているという意識はないと思う。恋人の男性が激怒したという証拠にその後に女性の前には二度と姿を表すなとジェイクに釘を刺さした。

風が吹いたら吹き飛ばさそうなひょろひょろのこの男(アントン・イェルチン)はこの年上の女性のもの凄く知的な部分に関しては何も知らないといった印象。(アントン・イェルチンは実際に役づくりにかなり痩せたはずである。)

マティは年上の男性と結婚した後に結局は子供を作って別れしまった。

実際にこれはかなり言い過ぎかもしれないけど、子供を作って大人の都合で別れることは子供にとってただ単に迷惑でしかないと思う。

この作品の見どころは究極に心理学的な分析を表現しているという点にあると思う。

映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」も「ブルー・バレンタイン」も究極に結果的にこれと全く同じテーマを扱っていていると俺は直感する。

問題はズバリこれだと思う。

一時的にお互いに熱くなりすぎて、よほどのもの凄い衝撃を与えられない限りは、そうなった人は熱くなればなるほどお互いに相手の欠点が全く見えなくなってしまい、頭の思考経路は遮断されてしまう。

自分は経験的にそして心理学的脳科学的に、種を保存するために人間の脳のメカニズムが実際そうなっているのだと確信している。実際にはそういった状態に陥ってしまっている人はそのことに気づくこともないだろうし、そもそもそう思いたくないだろう。

ただ頭のいいこの年上の女性マティはそのことに薄々と感じ始める。

そしてマティはジェイクのことを本人の前で「正体不明」だと言う。それは何なのかということに対して男に具体的な言葉を語る。

マティはジェイクに言う。

プルーストの言葉「恋人たちのウソはいずれ真実となる。」ということを。

マティはこの年下の男ジェイクに比べて頭も良くて経験もあるからこの先どうなるかについて若干薄々感じているように思われる。

これに対して場当たり的なジェイクは、プルーストに対して「読んだことがない。絶対に死ぬまで読まない。」と言う。実際にそう言うしかないだろう。そしてこの手の男は何も考えていないのだろうから。

そして一度セックするをしてしまうも何度も何度も馬鹿のようにここまでやるかというくらいにヤバいくらいセックスしまくってしまう。ヤバすぎるくらいのセックスの描写のシーンがその後続く。ジェイクは狂ったかのように理性の枠を遥かに超えてしまった。一度それを受け入れたマティはなるがままになるしかない。とにかくヤバすぎる!!目を覆いたくなった。

俺はその後、この男はこの女性を間違いなく妊娠させてしまうだろうと感じた。実際に俺はそういう人(友達)を何度も見てきた。結局、子供をおろした友達も数人いる。辛すぎる。もちろん映画は見る人によってどう感じるのかは違うのだろうけれども。もちろんいろんな意見があってもいいとは思う。

とにかくこの男は言葉巧みに場当たり的にいいことしか言わない。

こういう言い方はよくないかもしれないが、なぜか頭の中が熱くなってしまっている女性は簡単に軽いダメ男に騙されてしまう。繰り返して言うが、脳が麻痺している状態においてはいいところしか見えないからだ。


この男は母性本能をくすぶるらせているのか?

男は知っていてそれをやっているのか?

知っていてやっているのなら詐欺師と言われても文句はない。

最後にこの作品はアントン・イェルチンに捧げるというクレジットが出て終わる。

それにしてもアントン・イェルチンの演技は上手すぎる。本当にクソみたいな男を演じていて、本物の "リアルのクソ男" に見えた。素晴らしい俳優をこの世界は無くしてしまった。

アントン・イェルチンはたしか映画「君が生きた証」という映画に出ていた。名優だということは知っていた。

最後に5年前にこのポルトガルのポルトという街を実際に訪れたことがあって、そのことに関しても感慨深かった。

一見地味に見えるかもしれないけど、この作品は人間の多くの人があまり触れたくはない真相を「問い」として我々に提示している作品だと思う。そういった意味において俺にとっては最高傑作だ!!

映画の撮り方に関しては、おそらくログ撮影とカラーグレーディングをやり過ぎて、夜の暗いシーンの色がかなり荒れていた。意図的に古い感じを出すために敢えてそうしたのかは全く分からないが、映像制作をやっている俺ならそれは絶対にやらない。

それが− 0.3で4.7ポイントの高得点を付けた。内容だけ観れば個人的に5.0 ポイントだ。

只々、素晴らしい!!

こういったメッセージ性のある映画を好きな人には超お薦めの一本だ!
                    ふ
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