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人間機械のcinemarのレビュー・感想・評価

人間機械(2016年製作の映画)
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この映画をインドの繊維工場を経営する社長たちは見たのだろうか、インドの映画検閲が如何なものかは分からないが、もしかしたら正規に公開していないなんてこともありえるのではないか、そんなことを僕なんぞが懸念するほど無駄なこともないのだが、、、
少なくとも日本の映画祭では認められ、日本では一般公開された。海外では上映する門戸は開け始めているらしい。

『この映画によって行動を起こさせることができるなら、行動を起こさせてくれ』
映画終盤の労働者の率直な願いは叶いつつあるのだろうか。

ただ、この映画を鑑賞する日本人はおそらく、少し稀有な映画を求める映画好きで、僕らは一つの映画表現の仕方として、まずこの映画を観てしまうのだろう。

そんなことを考えると、映画なんてものは先進国の優雅な戯れに過ぎず、せいぜいそこで暮らしているに過ぎないんだなと思い、ただただ虚しくなるばかりである。

そして、もっと嫌なのは
生き地獄のなかの
日の光に反射する人の汗が
染色されていく繊維のなかに陰る人の輪郭が
なにやら美しいものに思えてしまう、

先進国の目線を捨てることができないことだ。
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