ばま

イカロスのばまのレビュー・感想・評価

イカロス(2017年製作の映画)
5.0
ニュースにもなった、ロシアの国ぐるみの
ドーピングを暴くドキュメンタリー。

衝撃的すぎて、専門的すぎて、難しくて、
踏み込みすぎてて…一気には見れんかった。
ただ、めちゃくちゃ面白いし絶対みた方がいい。
1人でも多くの人が見るべきやし知るべきやし、
そもそもこの映画を観られる環境にある私は、
安全なんやろうな。


社長から『大変な映画だから、絶対観なさい』
と勧められ、通勤電車とか立ち寄ったカフェでちょこちょこ見進めて、最終的に3週間かかった…
それだけ時間かけて観て、ゆっくり噛み砕けて良かったし、この映画を噛み砕く為には
私にはそれだけ時間がかかった。

ドキュメンタリー映画を専攻してた現役大学生の頃やと、ドキュメンタリーを観る目があったから、
もっと早かったかも。
ドキュメンタリー目が衰えてしまった…



序盤は、ただ「ドーピングして自転車レースに参加したら、どう変わるのかしら?」っていう、
ちょっと過激なドキュメンタリーを撮りたい監督…だったはずが、
どんどんロシアのドーピング問題に巻き込まれる。


『グレゴリーは命を懸けて告発したんです。妻子をロシアに残し、全ての私物を捨て、経済的安定を捨てた。僕たちが全て暴かないと。』


監督自身も、最初は
「なぜロシアのドーピング研究の第一人者であるグレゴリーが協力してくれるのか不思議」
とか言ってたけど、
きっとグレゴリーは意図して巻き込んだんやろう。
ロシアのドーピングを告発したくて、
世に暴きたくて、監督のロードレースのドーピングドキュメンタリーの話を受けた。
そこは、きっとグレゴリーの策略やと思う。
(ちなみにグレゴリーって人は、WADAっていうロシアにある反ドーピング組織のトップね。)


どういう手順でドーピング検査をすり抜け、
誰が絡んでてどこからの指示で、って
赤裸々に語ってくれる(政府の闇を暴く為に)
から、すごい引き込まれるし、そこが面白い。


要は、オリンピック選手がドーピングしてないか尿検査をしてたWADA(反ドーピング組織)の中で、
ロシア諜報機関のKGBが絡んで、尿をすり替えて
ドーピングをしてない様に見せてた。
→ プーチンからの指示


っていうか知らんかってんけど、
プーチンって元KGBなのね。

後半になってくると、
プーチンとか、スポーツ大臣のムトコとか、
国レベルの話にどんどん規模が大きくなって。
グレゴリーもKGBとFBIに追われ、逃げ、匿い、
その合間を縫って、証言を聞き出す。

途中「グレゴリーって嘘ついてるんじゃないか?」
って思うくらいまで話が一気に大きくなるねんけど、どうやら全部本当みたいで…


『これは正義についての判断
正義は政治とは切り離す必要がある』

『みんながウソを受け入れれば、
そのウソは事実となる』

1666の証拠を突きつけて、
関与否定するプーチンって…
それが支持率80%のロシアって…
人が殺されてるかも知れんのに。
心臓発作で亡くなった彼は、本当に心臓発作だったのか。
ロシアならやりかねない、って状況が怖すぎる。


これでW杯開催国って…
ニュース調べたら、W杯でもドーピングしてた噂出てきたけど、否定してるらしいね。

もうロシアに対して何も信じられない。
なにがフェアプレーやねん。


WADAがロシアにあったから問題なのか?
他の国で尿検査させれば良いのに。
そういう体制には出来ないもんなんか?
まぁ、そもそも、
反ドーピング組織が、ドーピングに絡んでるなんて、誰も思わんわな。


衝撃的。
やっぱドキュメンタリーって劇映画に勝る。
どれだけ「ドラマっぽい!」と思っても
実際に、起こってることやもんな。


今なおロシアに追われているグレゴリー。
アメリカに保護されてるそうで。
彼が家族と再会出来ますように。
ばま

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