RikuKitayama

ミスミソウのRikuKitayamaのレビュー・感想・評価

ミスミソウ(2017年製作の映画)
3.7
原作を読んだことがあったから気になって鑑賞。

真っ白な雪景色に不謹慎ながらも真っ赤な鮮血が不気味に美しく映える。

途中からあれ?って思って注意して見てたんだけどやっぱりそうだった、登場人物の目が全員淀んでる。でも春花と妙子が仲睦まじく教室ではしゃいでる回想シーンと妙子に過ぎ去りざまに頑張ってって手を振られたときの流美の目だけは希望を見出してこの世にちゃんと生きてる人の目だった。そこが割と印象に残ったかなあ。

クラスの連中が春花に常軌を逸するまでのいじめをするのもそれぞれ訳ありなバックボーンがあるからなんだけど、だからと言ってそこまでするかね。。ちょっと現実離れしすぎててその辺は入り込めなかったかなあ。まあ映画だからいいんだけど、ツボが合わなかったというか何と言うか。でも行き過ぎてたけど一番理解できたのは南先生の気持ち。乱しながら中学校生活をやり直したいって訴えかける場面は胸が締め付けられた。

本当に終始ただただ胸糞悪くて、開始2分で観なきゃよかった。。って思ったけどラストの映画オリジナルシーンであ、やっぱり観てよかったかなって少し思っちゃった。自分はあの終わり方悪くないと思ってる。

主題歌が劇中のあるシーンで突然流れるんだけど、まるで物語のどんよりした重い空気を強引に切り裂くように、鍵盤を力強くぶっ叩くピアノの音が無理矢理感情を揺さぶってくる。ピアノの旋律に突然胸ぐらを掴まれてお前はどう感じる?って脅されながら問いかけられた気がした。終わってから妙にその歌が気になっちゃって歌詞を見たら思わず泣いた。主題歌の歌詞を調べるまでがこの映画の醍醐味だと思う。

あと全く関係ない話だけど中学校の頃の音楽コンクールでピアノを全く弾けない子が謎に伴奏者に選出されていつも静かなその子は言われるがままに受け入れちゃって、その結果案の定練習のとき全員分かり切ってるくせに弾けねえじゃねえかアハハって笑いが起きたことがあった。結局早急にピアノを弾ける子が代役を務めて何事もなく終わったんだけど、映画を観てる途中この記憶が久し振りに蘇った。中学生くらいのときって多くの人が異質なものに理解を示せなかったり、何かしらの晒し上げる対象を見つけて自分の未熟さや至らなさを必死で隠してるんだろうな。
RikuKitayama

RikuKitayama