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ビール・ストリートの恋人たちのayellowbirdのレビュー・感想・評価

3.6
ジェームズ・ボールドウィンの小説 “ビール・ストリートに口あらば”を元に、NYのハーレムに生きる若い2人の愛と信念を描いたドラマ! バリー・ジェンキンス監督。
1970年代のNYハーレム。幼い頃から共に育ち、強い絆で結ばれた19歳のティッシュと22歳の恋人ファニー。互いに運命の相手を見出し幸せな日々を送っていたある日、ファニーが無実の罪で逮捕されてしまう。二人の愛を守るため、ティッシュとその家族はファニーを助け出そうと奔走するが、様々な困難が待ち受けていた…。

えも言われぬ、やるせなさに包まれる作品! 米国の歴史で、長らく“ものいう道具”(奴隷)として、鞭と鎖の支配下で過ごさなければならなかった黒人。その後、黒人解放運動の進展とともに、人権回復に向けた法的整備が進められたものの、それが社会的に認知されるには、なお多くの時間を要した。したがって、'70年代に、黒人= 犯罪予備軍とのレッテルを貼られ、治安維持の名目で、冤罪が横行したのは想像に難くない。だから、そんな色メガネで見られている人達からすれば、無罪を勝ち取るよりも、身に覚えのない罪を認めた方が金と労力のかからない現実的な選択肢になってしまう。
どんなに困難な状況でも、家族水入らずの暮らしを夢見て、愛情を育み、励まし合ったティッシュとファニー。
しかし、昨今の米国のニュースを聞くにつけ、半世紀の時を経て、なお差別の芽はなくなっていないことを憂えざるを得ない。
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