ラディッシュ

スリー・ビルボードのラディッシュのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.4
静かだが圧倒的にパワフルな作品。
娘を失った母、余命1ヶ月の署長、白人主義で同性愛者の警官。どの登場人物も不完全な人間で、自己中心的な側面を持ちながらも信念を持って行動している。だからこそ反感を感じることもあれば、同情することもできる。丁寧に描かれた心情描写は作品の主張をより力強くし、説得力をもたせている。

「怒りは怒りを来す」と言うように、登場人物たちが怒りに任せて行動し、失態や後悔を伴う行為を行い、それが人あるいは自らのさらなる怒りに繋がってしまうのが印象的だと感じる。
怒りの根底には差別や暴力など様々な要素があるが、その瞬間の怒りを抑制できた人間は前に進めるというメッセージになっているのかと個人的には感じる。だからこそ、ディクソンの冷静な判断によって犯人のDNAを手入れれた(結局違ったが)。
ラストシーン後、2人がどんな選択をするのかは分からないが、彼女らは前に進むか、怒りに進むかの分かれ道に立たされているのだろう。
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