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スリー・ビルボードのJのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0
・物語★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★
・映像★★★
・音楽★★★★

『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』

タイトルに重なるロゴのように見えるのは、ミズーリ州の形🇺🇸
架空の街“エビング”の街はずれに設置された3つのビルボードは、鮮烈な赤だ🔥

その色に象徴されるように、怒りや憎しみといった“人間の闇”や、“暴力”を描くシーンが多い。
だが、どうしたことだろう…
どこか“人間の温かい部分”ばかりが印象に残っている。
とてつもなく不思議な余韻を残す作品だ。

描かれるシリアスな現実は、堪え難く理不尽で残酷。
だが、どういう訳か…
登場人物は多くのシーンで妙に毅然かつサッパリとしており、ダークで皮肉たっぷりながらも、コミカルにさえ思えるセリフを吐く。
それ故に、エモーショナルなシーンで見せる表情や仕草は、深く心に突き刺さる。


ゴールデン・グローブ賞各部門の受賞と、アカデミー賞各部門へのノミネートは、いずれも異論を挟む余地はない。
とりわけ特筆すべきは、アカデミー賞作曲賞へのノミネート🏆
閉塞的なアメリカの田舎町に、程よく切なさとノスタルジーを添える楽曲が素晴らしい🎵

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(※以下、ネタバレあり⚠️)

観客の想像を掻き立てるラスト🚗

“復讐”か“赦し”か…
“理不尽で残酷な現実”や、“人間の闇”を描くのも本作。
一方で、“人間同士の理解”や“温かさ”を描くのも本作だ。
よって、彼らがどちらの選択肢を選んだとしても不思議ではない。

“怒りは怒りを来す”
そのことに気付いた彼らは、ひょっとしたら赦すのかも知れない。

だが、おそらく彼らは赦すことはないだろう🙅‍♀️🙅‍♂️

レッドとディクソン、ディクソンとミルドレッド、ミルドレッドとアン、ミルドレッドと元夫カップル…
衝突の末、不本意ながらも理解し赦し合った彼らと比べ、“あの男”の罪は、赦しを得るにはあまりにも重過ぎるのだから…。

そして悲しいことに、ミルドレッド自身、“あの男”との衝突なくして、娘アンジェラの赦し(=自らの後悔からの解放)は得られないと思えてならないのだ…。

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劇場用パンフ★★★★★
全49ページ。
『FOXサーチライト・マガジン』のシリーズらしく、読み応えのあるハズレなしの内容。
とりわけ、「3つのビルボードは3人の主要キャラクターの象徴」と指摘する町山智浩氏のレビューは必読。
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