うとうと

スリー・ビルボードのうとうとのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.8
アメリカの片田舎に建つ3枚の広告看板。そこには、「レイプされて死亡」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ?ウィロビー署長」という警察への挑発的な言葉が書かれている。

娘アンジェラを殺されたミルドレッド・ヘイズは、事件解決に向けて動こうとしない警察への復讐の為に看板を建てるが、この行動で彼女は町の住民から反感を買うこととなる、、。

主な登場人物は、ミルドレッド・ヘイズと警察署長のウィロビー、その部下で乱暴で差別的思考のディクソン巡査。

最初の30分では娘を殺された母親の正義の復讐劇かと思えたが、この事件をきっかけに町の住民たちが複雑に絡み合い、ストーリーの展開は全く見えてこない。
そこが本作の魅力であると感じる。

ミルドレッドは、過去の自分の言動を悔い、それ故に異常なまでに過激に復讐に走るのであろう。娘を失うきっかけを作った自分を責め、見える形の大きな罪でその罪を塗り替えたいかの様にも見える。

ウィロビー署長は、この廃れた町の中でも住民たちに愛され、妻と2人の娘もおり幸せな人生を送っていた。しかし、アンジェラ殺害事件を解決できていないウィロビーに対し、ミルドレッドの放つ「死んでからじゃ意味ないでしょ?」の一言に突き動かされ事件解決に奔走する、、。
ウィロビーが起こしたある行動をきっかけに、ミルドレッドやディクソンをはじめ全てが動き出す。

ディクソンは、横暴で差別的でマザコンで仕事に怠慢なクズ巡査。挙げ句の果てには警察をクビになることに。しかし、後半に見せる忠誠心や責任感には高感度がある。

見る側の想像力を掻き立てられるラストの見せ方も良い。

そして、要所要所で流れるのどかな音楽がなんともミスマッチでしびれます。
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