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スリー・ビルボードのCatのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.7
アメリカ南部の白人の町についての、強烈な社会風刺。

白人警察が黒人に暴力を奮うなんていう差別はよく取り上げられるが、この作品は日本でいう部落と呼ばれる閉鎖的な社会に生きる人たちを描いている。
低所得労働者である貧困層の白人。トランプ大統領当選によってその存在が表面化されてようやく私も意識するようになったが、アメリカ南部の白人に今までとは違うイメージを持つようになった。グリーン・ブックを見て日が浅いと余計、ね。都会に住む人間には理解できない根本的なものがある。

この映画は、娘を殺された母親が、犯人逮捕に怠惰な捜査をする地元警察への復習から始まるミステリー、かと思っていた。しかし、ストーリーが進むにつれて、ミステリー要素は気にならなくなり、繊細に描かれているヒューマンドラマに釘付けになる。
どの登場人物をとってもそのキャラクターというか、人間性による言動が取りこぼせない重要なメッセージを持っている。

それぞれの行動がもたらす結果が、空回りしたり、明るい兆しが見えたり。。苛立たしさや、空虚な展開もありつつ、なかなか考えさせられるテーマを持つ作品である。

メッセージのあるヒューマンドラマに興味のある人には楽しんでもらえるだろう。
(私の父のように、SFやアクションやジェットコースターミステリーのような映画が楽しい!という人にはつまらないかもしれない。)

こういう映画を観る度に思うのだが、原題に大事な要素が含まれているものを、日本語タイトルにする時に省くのは何故なのか。
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