友一

BRAVE STORM ブレイブストームの友一のレビュー・感想・評価

BRAVE STORM ブレイブストーム(2017年製作の映画)
3.5
この手のジャンルのツボを分かりまくったオタクが本気で作った良質なB級映画って感じで最高でしたよ。

岡部淳也監督といえば円谷プロ時代に『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』をプロデュース&脚本を担当して海外から坂本浩一監督を呼んだ張本人ですよね確か。それ以降坂本浩一監督は日本の特撮アクション界を刷新して今や業界引っ張りだこな凄い人なわけで、彼を日本に連れて来た功績はデカイですよね。

あと自主製作なのかなんなのか『座頭市VSプレデター』という短編映画を監督したりしてましたよね。これ最高なんで未見の人は是非。

上記の仕事ぶりを見るに、まぁ特撮アクションSFオタクからしたら"信頼出来る人"感びんびんなわけですよ。なのに何故今まで見逃していたのか。全く自分が許せないですね。

この作品がお世辞にもふんだんに予算が使える製作体制でないことは明白なわけで、そこをアイデアと工夫とちょっとの強引さで見せ切る姿勢にグッときたというか。

ロボットの重量感、一般市民からの視点で巨大ロボの戦いを見せたり、強化スーツや銃の何段階かにわかれたギミック。クリーチャーの造形、見せ方。その工夫のひとつひとつに作り手の魂がちゃんと宿ってるんですよ。

いくら金をかけたって実写版『ガッチャマン』のようななーんもわかってないゴミ映画は永遠と作られ続けているんだから、それら有象無象に比べるとこの作品の志が高さが良くわかると思います。映画は予算じゃねぇ!

音楽のマイケル・バータさんはまさに『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』からの起用かなと思われるんですけど、この方のジョン・ウィリアムズリスペクトに溢れたオーケストレーションがこの作品の"本気のごっこ遊び"感を際立てていてとにかく素晴らしかったです。

キャストも文句無しでしたね。
特撮俳優がどかどか出るのでオタクの目には優しかったです。

山本千尋さんが控え目なサイキックとして登場したときは「あぁ、なんか戦わなそうだな」としょんぼりしたんですけど、彼女がとある場面で満を持して剣を抜く瞬間、心の中で拍手が起こりました。作り手も文脈が完全にわかってるので、クイーンエイリアンに立ち向かうリプリーみたいに(唐突なエイリアン2ネタ)ちゃんとその瞬間を盛り上げてくれるんですよね。

あとランタイム81分って凄くないですか?実写『ガッチャマン』なんて113分もあるんだよダサくない?寒くない?(しつこい蒸し返し)とにかく本作のジャンル映画への理解度の高さに感服します。感謝しかないです。

はやく続きを作ってくれるんだろうねぇ...。
友一

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