あんしん

顔たち、ところどころのあんしんのネタバレレビュー・内容・結末

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ポートレートとは不気味なものだ。それに実物よりもはるかに大きく拡大されているのだからさらに不気味だ。ポートレートは被写体の「幻像」を作り出す。かつてあった瞬間を切り取り、それがたしかにあったという事実を無媒介で提示する。人々が拡大コピーされている自分の写真を己の輪郭で切り取っていく作業があったが、私にはどうにも痛々しく思えて仕方がなかった。なにゆえかはわからないが、とても悲しいことのように思えた。映画には終始明るい雰囲気が漂っている。二人のちょっとした諍いのシーンや、ゴダールと会えないシーン(まさか普通にゴダールが出演することはないだろうと思ったが)は多少悲しげであるものの、のどかに旅は過ぎていく。スマートフォンの普及や、誰もがSNSで簡単に写真を加工、公開できるという現状を踏まえた上で、写真の「暗い側面」にもう少し目が向けられていてもいいのではなないかと、わたしはそう思いました。
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