顔たち、ところどころの作品情報・感想・評価

「顔たち、ところどころ」に投稿された感想・評価

akrutm

akrutmの感想・評価

4.5
映画監督で写真家のアニエス・ヴァルダと芸術家のJRが、フランス各地の田舎街を訪れて、地元の人々と交流するというロードムービー。フランス地方の美しい風景に注目するだけでは見逃されてしまう、現地で生きる人々の生き様を、アニエス・ヴァルダとJRという年の差50のコンビが映し出していく。訪れた土地で、人々の顔や全身を撮った超巨大なポスターを建物などの壁に張っていくというグラフィティアートもなかなか新鮮で見応えがある。

50歳も離れていても一緒に旅することに全然違和感のない、芸術家として対等に渡り合う二人を見ていると、芸術ってやっぱりいいものだなあとつくづく思ってしまう。JRの作品を少し追ってみようと思うとともに、映画の中ではまだまだ元気な姿を見せていただけに、アニエスの訃報はやはり残念でならない。

それから、映画の最後のほうで、ヌーヴェルヴァーグの巨匠に会いに行くシーンも印象的。どこまでが本当でどこまでが演出なのかはわからないが、彼ならば突然こんな対応をしても不思議でないだけに、アニエス・ヴァルダの悲しそうな表情と彼のために買ってきた菓子パンが妙に心に残った。
フランスの質素で素朴な田舎への旅、そこで出会うさまざまな人々。いいなぁ。
サエ

サエの感想・評価

5.0
性別、年齢、職業、身分に関係なく次々と貼られていく人々の顔。この映画は一貫して"平等性"を主張していたように思う。
アニエスとJRの関係性がとても素敵だったし、本当に素晴らしい映画だった。
すごく美しくてあったかくて切なくて人が好きになる映画だった。全ての要素がぴたりとハマる瞬間、ぐっときすぎる‥
二人とも凄い経歴なのに
飾らず、
柔らかな感じが心地よかった。。
写真家のJR33歳と今は亡きジャックドゥミの妻であり、自らも映画監督のアニエス87歳が色々な人に会いに行き
そこで写真を撮っていく。

二人の関係がめっちゃめちゃよい。
JRはアニエスと対等につきあいながらも
細かく気遣いが垣間見える。

アニエスは横柄にしないし、
終始言動がおちゃめ。
JRの茶化しが、おもしろさを際立たせる。

終始ゆるやかに進むが、

コトバの節々に重みのあることを、おとしていく。

「偶然が常に最良の助監督」
とか

「目的は想像力

自由な発想から物事を想像し問いかける
想像を働かせてる?と、

想像力は人と関わる物だから
人に会って写真をとってる」

染みる。
そして、工場で働く人を撮ったり
ヤギを育ててる人を撮ったり

1人1人の一般人の過去の歴史を
大切にして作品にしている。

歴史って大きなこと成し遂げてない人でも、誰でも1人1人の持つ物だっておもってたけど、
こうやって大きな作品にすると更にそう感じる。
歴史は偉い人、凄い人だけってものでもないのだ。結局は人の経験だ。
そこに経緯を持って

きらきらした目で彼らをみて
作品にしてて
凄いことやってる。

写真って人の心や経験をここまで写しきれるのか。と驚いた。目に焼き付いた。かっこよすぎた。

アニエスが監督なだけあってドキュメンタリー?なのに、映画にもなっている。

87歳の涙が、泣けた。
あの年齢になったときあんな素敵な思考で
感受性ゆたかになれたらめっちゃめちゃ素敵なおばあちゃんだ。
と、憧れにもなった。
そしてそれを「僕に出来ることがあったら何でも言って」と言って励ますJRも大好きだ。
年配となぜ、JRがこんな風に接することができるのか、理由も描かれてる。

2人が出会ってくれてほんとに嬉しい。
出会って愛ある作品を生んで人々の心を響かせていくのだ。

私もアニエスに会いたかったな。
イスでバタバタ足を遊ばせるのかわいすぎたよー!
ゴダール、なんだよなぁ…😓
肉体は消えてもアーティストの思いは残る
アニエスウァルダ追悼。
芸術家たちの創作&展示活動を追った作品で、芸術的な映画が苦手な自分は、共感できない映画だと思ったのですが、琴線に触れるエピソードがあり、見て良かったです。涙腺を刺激されたり、色々な風景を見られたりして良かったです。ぼた山や田園の風景は日本と似ていて、フランス北海岸の景色は幻想的でした。自分の写真が建物に張られるのが恥ずかしいと言う、「日本人的」と表現されそうなメンタリティを持った人はフランス人にもいることが分かり、国籍が違っても人間はあまり変わらないんだと感慨。記憶しているポートレート撮影対象者。

・機械化大規模農業を営む農家
・炭鉱住宅唯一の住人
・大貿易港ルアーブルの職員さん
・化学薬品工場の幹部と従業員
・お土産物店の店員さん
・ある町の住人たち

ある写真家との関係のシーンは、人体のフォームについての話でしたが、自分にとっては芸術性が高すぎるためか、よく分からず少し退屈でした。ドラマチックな展開ではないので、見る人によって好き嫌いが分かれそうな作品。
Gaku

Gakuの感想・評価

3.4
とにかくオシャレだし、フランスさがイヤってほどでてるフランスのドキュメンタリー。
初めて観たときは、大学のゼミで先生が作品を映画館から借りてきて観た。自分たちのゼミの活動とかなり似ていて参考になるが、フランス映画を見ていると眠くなってしまう自分にはちょっと辛かった。
ただ、二人のアーティストのセンスが圧倒的であるため、とにかくかっこいい映画。工場の写真達が印象的。

このレビューはネタバレを含みます

映画“ヌーヴェルバーグの祖母”監督と新進アーティスト、年の差54歳の二人が織りなすロードムービー。

ドキュメンタリーでありながら、セリフの様な会話、きちんとカットを割った演出。でも、そこは気にせず、作品世界に飛び込んでいけるマジックがある。

JRの特大フォトアートは、時が経てば失われてしまう類の作品だ。早いものなら一晩で自然の力によって消え失せる。
100年後、1000年後の世界が彼のこと、彼の作品を憶えているかは判らない。しかし旅の先々で彼の作品は、即効的に人々を笑顔にし、時に寄り添い、心を癒し、誇りを与える。更にはその場所さえも浄化している様にさえ感じる。ルーブルに鎮座ましましている人類史上のマスターピースたちに、これは出来ないだろうと思わせてくれる。ラファエロもダヴィンチも最早、ホイールチェアに乗ってスイスイっと、流し見していい…かな?と二人に同調したくなる。芸術も時代と共に、その姿と役割は変容を続けてよい。

…心に残ったこと。
全くタイプの違う二件の山羊飼養業者。しかし彼らは決してお互いを否定したり非難したりしない。主人公たちもどっちが良い悪いは語らない。人の数だけ理念も正義も違う。ただ、“私とあなたは違うのね”という事だけ。
そして、登場する人々が皆、自ら、或いは近しい者がモチーフとなる作品について、それぞれ自分の考えや意見を持ち、堂々と語る。
映画の其処此処に成熟した社会を感じ、羨ましく思った。

一服の清涼剤の様な、爽やかな感覚を得られる作品である。
dita

ditaの感想・評価

4.0
@シアターセブン   

ヴァルダ作品を未見なので迷ったけど観てよかった。少し泣いた。いちばんグッときたのは曽祖母?の写真を家の壁に貼るご家族。自分がこれから血を次の世代に残すことはおそらくないので、ああいうのを見ると羨ましさと同時に自分の親不孝さに悲しくなってしまう。

芸術家にとことん疎いのでJRのことも初めて知った。ナイーブで、孤独で、でも人が好きなんだろうなと思った。わたしは自分の顔が大嫌いで写真に撮られることを避け続けているので、あんなに大きく自分の顔がプリントされたらと思うと恐怖でしかないけど、被写体の人はみんな素敵な表情で羨ましかった。いつかわたしもあんなに素敵な一瞬を写真におさめることが出来たら、それを家の壁、否、遺影に…いやなんでもない。

記録も記憶もいつか消えてなくなってしまうけれど、自身と被写体、そして名も無き人たちの生きた証を次世代へ遺すことにはこんなにも意味がある。誰の人生も立派な芸術作品だ。
>|