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友罪のJのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
4.2
・物語★★★★★
・配役★★★★★
・演出★★★★★
・映像★★★
・音楽★★★

あの「少年A」の事件を題材に、彼の人格と犯罪の接点に焦点を当てた作品かと思っていました。

でも本作は「少年A」にとどまることなく、彼の周囲に“過去に囚われる人間たち”を登場させることで、物語に重層的な深みを与えています。

救いを求められながらもそれを拒んだことで、親友が自殺した過去をもつ元雑誌記者。
地方から上京して程なく恋人の罠によりAV出演を強要され、居場所をなくしたテレホンアポインター。
犯罪を犯した少年たちの看護のため家庭を顧みることが出来ず、実の娘に疎まれる医療少年院の職員。
息子が起こした死亡交通事故により一家を離散し、被害者家族への償い行脚を続けるタクシードライバー。

一見バラバラなはずの彼らが、「少年A」と繋がることで群像劇を紡ぎ出す…
過去に囚われながら生きていくことはできるのか、生きていくことは許されるのか…


残酷なまでにリアルに彼らを突き放しながら。それでいて希望を感じさせるラストも素晴らしいです。
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