Sayaka

友罪のSayakaのレビュー・感想・評価

友罪(2017年製作の映画)
4.5
忘れているかもしれないだけで、これは誰にでも胸に引っかかるものがあると思う。

法を犯し人様の命を奪った『少年A』だけではなく、加害者家族、被害者遺族、いじめ、交通事故、リベンジポルノ(?)など、複数の登場人物の視点から「命」と「生き方」について考えさせられる映画でした。

個人的、集団的に関わらず、「いじめ」「嫌がらせ」とまではいかずとも、幼少期の何気ないひと言が、向けた本人の知らぬ間にも、向けられた者にとっては何気ないものなんかでなく、一生付き纏う呪怨のようなものになっているかもしれない。それによって命を断つ人もいるかもしれない。

幸いわたしの周りに自殺をした人がいなかっただけで、もしかしたら私の発した言葉に悩んでいた人がいるかもしれない。私の言動ではなかったとしても、何かに心を支配されて苦しんでいる人が近くにいた事に気付いてあげられなかったかもしれない。

いま大人になってからはこんな風に思えても、やっぱり幼少期の自分に戻れる訳でもないし、戻れたところで、あの頃のちっぽけな脳みそでいまと同じように考えられるかと言ったら…

だからこそ、いまが大事なんだなと思う。
それは『鈴木くん』もそう。勿論前科は無い方が良いに決まっている。ただ、過去に過ちを犯した人が現在進行形で未だに「悪い人」なのか、と言うと、またそれは違う。
前科が無くても極悪人は沢山いる。いま目の前に居る人を理解しようとする姿勢が、いまを誰とどう生きるかが、大切なんだな。
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