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犬猿のpenのレビュー・感想・評価

犬猿(2017年製作の映画)
5.0
吉田恵輔監督の徹底したドライな視線が全編で貫かれた一作。2組の兄弟と姉妹、4人の狡さ汚さ、それらに埋もれた良い部分を時に滑稽に時に真摯に描いた会話劇で、当たり前ののように軽く言い合ってた悪口が段々と罵詈雑言の戦争状態へと突入していく段階の踏み方が見事だった。居心地の悪さが充満する空間の作り方が素晴らしい。

ただ相手を嫌っている訳でもなくて、嫉妬と対抗心と尊敬が入り交じる兄と弟、姉と妹の互いの想いをちゃんと描写してるのも良い。
相手の言葉を受けた時に顔ではなく背中が映ることで、そこに生まれた空白が観てる側に考えさせることを促しているように思え、個人的には似た思い出が浮かんだ。

やや台詞に頼ってるような部分も見受けられたけど、子どもの口喧嘩と考えると納得出来る。プロデューサーがロマン・ポランスキーの『おとなのけんか』のような映画になれば良いかな的なことを言っていて、納得。
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