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犬猿のyogaのレビュー・感想・評価

犬猿(2017年製作の映画)
3.8
映画の本筋と関係ないのだが、吉田恵輔監督には個人的にすごく思い入れがある。大学に落ちて東京で浪人生活を送るために上京してきた19歳の年、人生で初めて観たオールナイトの映画が吉田監督だった。確か「純喫茶磯辺」の公開記念だったと思う。今まで九州の片田舎で全国公開のメジャー映画しか観てこなかった自分にとって、エロ丸出しの刺激的なマイナー映画を浴びるように観た一夜は強烈に記憶に残っている。最後にトークショーを行った吉田監督の飾らないエロにーちゃん的な人柄にも憧れた。こんな人がこんな自由に好きな映画を作ってるんだ、東京ってすげーっと感激した。それから10年近くが経ち、自分は普通に就職してサラリーマンになり、吉田監督は映画監督としてのキャリアを彼らしさを失うことなく邁進しているように見える。吉田監督の映画はどれも登場人物みんなが愛おしい。真面目な人も、馬鹿な人も、凶暴な人も、計算高い人も、みんなどこか憎らしく、どこか哀しげで、だからこそ愛おしさが増す。そして、今回の犬猿のテーマは兄弟(姉妹)。誰にとっても、一番近しいがゆえに愛おしく、愛おしいがゆえに憎たらしい。あまりにも吉田監督にぴったりのテーマではないだろうか。
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