もっちりもっちー

鈴木家の嘘のもっちりもっちーのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
4.8
東京国際映画祭にて。


野尻監督の初監督作品。多くの有名監督の助監をやっていた方の初作品ということでずっと気になっていた。

私は、生と死には2つの意味があると考えている。
1つは、生物としての死。
2つ目は、社会的の死である。

本作では、生と死をこの2つの視点から捉えていると感じた。
引きこもりになった、兄に対して家族は
鬱 だと決めつけていた節があった。
鬱は心の病気 だから。と言った様に本人は鬱 のつもりがないのに、そう言い聞かされ、思わされていた。
Q&Aである外国人が質問していたが、日本の引きこもりに対する考え方について疑問視していた。
確かに、手を差し伸べている つもりなのに
相手によっては、認めたくない事かもしれない。まさに、本作の兄のような気持ちになるだろう。

引きこもりの兄に対して、恥ずかしさや怒りをもっていた妹。死んじゃえば?と反射的に軽く言ったつもりが、その後本当に自殺してしまう。また、母親に対して嘘をつき続けた息苦しさ。後悔。などが爆発する。彼女のあの 叫び はとても印象的であった。
私の感覚だが、映画 怒り の広瀬すずが叫ぶ かのようなワンシーンであった。

バスでの父親との会話のシーン、川の中での母親との会話のシーン。
どれもまったく違うテイストの画であり、幅があるなと感じた。

たまにでるコメディ要素や、セラピーでの癖の強い女性(彼女も寂しさを隠そうとしている)など、ストーリーとしても幅を広く描かれていた。

兄とソープ嬢の関係性の物語は、あのくらいで丁度いいと感じた。終わり方も好きだ。

音楽も明星ということで100点。


観終わった後に、すごく疲れた。
感情をここまで揺さぶらたのは久しぶりである。

気が早いが、次回作にも期待。
観に行ってよかった。また観たい。