Miki

鈴木家の嘘のMikiのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
3.7
登壇つき試写会にて。

喜劇のふりかけがかけられているが、その実、中身はかなり味付けの濃い悲劇。

割合としては3割喜劇、7割悲劇といった配分か。悲劇というよりはシリアスと言ったほうがしっくり来るかな。

冒頭、引きこもりの長男が自死する場面から始まる。それを発見した母親がショックで昏睡状態になり、目覚めたときにはその記憶がなくなっている。咄嗟におじさんおばさんも巻き込んで、兄は海外で頑張りだしたという嘘を親族総出で突き通していくという話。

最初はコメディ色強く展開していくが、徐々にシリアス色が強くなり、心の柔らかいところをググッと抉られるような描写もある。泣けるとか言うよりは、辛くなるという感じ。

初めて観たヒロインの子の演技がとても胸に迫ってくる。特に独白のシーンは圧巻。可愛く見えたり、そうでもなかったりする妙な不安定感はあるけれど。それも魅力なのかな。

前述の通りシリアス感が強いので130分は正直少ししんどい。イブちゃん要素とかもう少し削っても良かったんじゃないかな。

上映後のトークショーで、監督自身の体験が元になっており、初監督作品としてこれを描かない事には先に進めなかったんじゃないか、との話にまた改めて作品への理解が深まる。

意外と高いシリアス度で採点が低くはなってしまうけれど、点数以上に観る価値のある作品だと感じた。
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