ohchiyo

鈴木家の嘘のohchiyoのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
5.0
父を投げ飛ばした後の浩一の表情、手紙を読みながら気持ち高ぶって兄に怒りをぶつける富美、なんとかイヴに会いたい一心で土下座する父、浩一の縄を必死に切ろうとする母、、、鈴木家が必死にもがく姿に涙が止まらなかった。

誰のせいでもない。
ただ家族の引きこもりや自死を乗り越えるのはそんな簡単なもんじゃない。
綺麗事ではない、これがリアル。

嘘から始まった鈴木家の喪の作業。
ただ悲しむだけではない、否認、怒り、取引き、抑うつを超えて、ようやく受容できる、その過程にぐっとひきこまれた。

重くなりがちなストーリーなのに、コメディ要素もちらほらしっかり入ってるのにも感服。
シリアスな場面なのに、え?って。
大森南朋さん、宇野祥平さん、さすがです。

過去と現在を行ったり来たりするのに全然くどくなかった構成にも感服。
ハガキがひらひら舞うシーン、どこか現実離れした描写にもすんなり入り込めた。

何気なく観た映画がとても良かったです。
ohchiyo

ohchiyo