Furuhata

鈴木家の嘘のFuruhataのレビュー・感想・評価

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)
4.2
結論から言うと凄く良かった。ひきこもり、自殺とテーマが重いのに、冒頭ある種淡々と少しコミカルに描くことで敢えて重さを感じさせないところが導入として見やすかった。タイトル通り嘘という嘘が沢山出てくる。見方によれば嘘になるもの、嘘も方便なものなど。途中予想は付いたが、唯一終盤まで語られていない嘘がストーリーを動かし、深く観客を引き込む作りになっている。妹の葛藤を軸に母の強さ、引きこもり、父の影ならぬ奮闘、そしてなにより自殺そのものより、家族が自殺し残された遺族に焦点を当てている部分が年間3万人ほどが、様々な理由で自殺する本国の社会問題にずっしりと重く響く。母の記憶喪失は「オールアバウトマイマザー」、嘘を軸に動かす物語「蛇いちご」、部屋の中を飛ぶコウモリの描写や位置付けは「愛、アムール」、日本の社会問題のテーマの捉え方とエンディングの曲「恋人たち」。なんか色んな映画のエッセンスが散りばめられた作品だったように自分は感じた。初めてこの監督の作品を観ましたが、今後に期待です。
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