爆裂BOX

ジャッカルズの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ジャッカルズ(2017年製作の映画)
3.4
カルト教団から息子を奪還した一家が見舞われる恐怖を描いたホームインベージョン・スリラーです。実話を基にしているらしいけどどこまで本当何だろうか…監督は「SAW6」や「ファイナル」のケヴィン・グルタート。
1983年、カルト教団に入信し洗脳された息子ジャスティンを拉致して取り戻した父アンドリュー、母キャシー、兄のキャンベルとジャスティンの恋人のサマンサは、カルト対策の専門家ジミーと共に人里離れた山荘で洗脳を解くための治療を開始するが、その夜、仮面を被った狂気の殺人カルト集団「ジャッカルズ」に山荘を包囲されてしまう…というストーリーです。
前半は、カルト集団から奪還した息子ジャスティンの洗脳を家族に雇われた元海兵隊員で専門家のジミーが解こうとする描写に長めに尺がさかれてます。「俺はジャスティンじゃなくてタナトスだ!」中二病全開な洗脳されっぷりを披露するジャスティンと、それを何とか解こうとする家族の描写もありますが、この家族が割とギスギスした感じですが、理由も「離婚した両親が子供を顧みなかった」や「母親が勝手に家を出て行ったと思ったら父親の浮気が原因だった」等のたいして深くもない理由です。というか、この家族などの掘り下げ描写はあまりなかったですね。ジャスティンの恋人で彼の子供を産んで、パウエル家と同居してるサマンサと赤ん坊のゾーイとかラスト辺りキーマンになるからもっと掘り下げてもいいだろうに。
中盤からカルト集団ジャッカルズが襲撃してきますが、初登場シーンの車のライトを後光に武器を持って立つジャケットの姿はスタイリッシュでかっこいい。ただ、このカルト集団の目的も何も一切合切不明のままで最後まで語られません。「家族」のジャスティンの奪還が目的だろうことは窺えますが。狼の様な遠吠えで会話?してる所も厨二臭くて良いですね。
すっかりオジサンになったスティーヴン・ドーフ演じるジミーは元軍人で自信満々だからさぞいい戦い繰り広げてくれるだろうと思ったらアッサリやられて完全に出オチ要員なのはガッカリ。そこからは家族の籠城戦になりますが、団結力も戦闘力もなさそうなのでどう見ても勝ち目なさそうでその絶望感は良いですが、そもそも惹句でバッドエンド明言されてるんで全滅なのは明らかです。それでも、侵入してきたカルト集団に対して容赦なく全力で攻撃する所は良かったな。グロシーンはほぼないですね。手に片方づつ灯油?かけて火をつけて燃やす所は残酷で良かったな。
家族の中では「さっさとジャスティンを渡そう!」と主張する兄貴のキャンベルが薄情なようで一番冷静で的確だったと思います。最初に一番脚早いし体力ある自分が走って助け呼びに行くといいますし。デボラ・カーラ・アンガー演じる母親がジャスティンに愛情偏りがちに見えたけど、キャンベルが捕まった時は「あの子も私の子なのよ!」と半狂乱で飛び出す所と父親も助ける為に最後飛び出す所も良かったですね。あれだアッサリ見捨てられたらキャンベル可哀想すぎだもんね。
ジャスティンはサマンサと子供に対しては正気を取り戻したように見えたけど、ラストでまた忠誠誓ってたし、「逃がした」んじゃなく「逃がした不利」だったのかな。どうなるかもわかってて。
ラストはまあ、そうなるだろうなという感じで。そもそも惹句で「バッドエンド」明言されてますしね。でもバッドエンドは予想してないからこそ胸糞悪さや後味の悪さ味わえるんであって、最初からそうなるよって言われてたら別にショック覚えることもなく「そうですか」としか言いようないですね。これは間違いなく宣伝ミスですね。まあ、車から出てくると思ってたら後ろだったのは意外だったけど。
評判悪いですが、個人的にはそれなりに無難に楽しめるB級ホラーでした。