yoko

ジェラルドのゲームのyokoのレビュー・感想・評価

ジェラルドのゲーム(2017年製作の映画)
4.5
手錠、指輪、日食は物理的拘束、心理的拘束のメタファー。輪っかで統一していることに美学を感じる○

点数が高いのになぜかハマれない映画、逆に点数が低いのにハマれる映画。私にとってマイク・フラナガン、彼のドクタースリープや、今作ジェラルドのゲームは後者、そしてシャイニングなんかは前者かなあ。キューブリックに操を立てた映画うるさ方からは「ないよね〜」と類似点のみで語られそうなドクタースリープも私は「むしろシャイニングよりいいよね」と声を小さくして呟き続けてきた。

という私も今作マイク・フラナガンというのを知らなくてネトフリの安いエロ枠スリラーとして作られたやつかなと思って見てこなかった。むしろそれを期待していた人はかわいそうだがw

冒頭のsmプレイで相方がオーバードーズで死んで縛られたまま動けない主人公。感想でよく上がる今作の肩透かしとは、普通の映画ならはいわゆるフィジカルに直結する外的とのバトルになったり、知を張り巡らせて現状を分析したりとするが、そういう危機感は実はない。犬も死体を漁ってるだけでそこまで凶暴ではない。

なぜなら内面と向き合うことがテーマだからフィジカルバトルはいらないのだ。霊体と会話し「僕はここにいても良かったんだ!」が彼の作品のマナー。物理的に補完計画が始まるかと思ったら、内省的な対話が始まりましたー。みたいなアニメ版のエヴァラスト2話みたいな感じw

緊急事態の妄想の産物かと思わせたモンスターが実は本当にいたというのは意外w。結局内面の話で男の攻撃性の幻なんだって思うじゃない?彼が彼女に危害を加えなかったのは自分と同じ過去に囚われた被害者だと思ったからだろうか?

手錠、指輪、日食、物理的な拘束と共に心理的な拘束のメタファー。自分を拘束し守るべき人間が守らない。けどモンスターは加害しない。

美しい日食のシーンと下劣なシーンが同時に起こる。この絵は本当に素晴らしい。赤を基調としていてまがまがしさ、そこで時が止まっているような、1分ほどの日食が永遠に感じるような感覚。
日食は太陽の正義、闇の悪が混ざる瞬間、人間の本性が暴かれる瞬間。その円環の瞬間に囚われている主人公。主人公がそこから抜け出しラストではややしかめっ面でサングラスをしピーカンお日様に向かって歩いていく。



カーラグギノ 主人公
レベッカファーガソン ドクタースリープ
ケイトシーゲル 嫁 ミッドナイトマス
この辺の監督の好みが一貫していて逆に清々しいw
yoko

yoko