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関心領域のyokoのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.0
ポスターや予告で流れたシャマラン娘のウォッチャーズや、お隣さんはヒトラーという映画、呪術廻戦の領域展開のイメージに引っ張られて舞台を庭先だけに固定した会話劇的なもの、ドッグヴィル的なものを想像していたが、全然違った笑。俯瞰で内側から扉を開けるショット、それを真逆の外側から閉めるショットが繰り返される。内側外側を意識させる作りになっている。

ラストは蛇足、アートだけじゃなく社会問題に関心のある賢い僕!みたいに思われたい下品さを感じる。この映画の関心とはナチス、ユダヤ、アウシュビッツに関心を向けようということではないはず。この映画を観てアウシュビッツに関心を向けよう!キリという人がいるとするならばやはり提示されたものにしたがっているだけで、領域外の無関心さは変わらない。

ハンナアーレントの言葉を借りるなら、アイヒマンは極悪人ではなく普通の人で命令を忠実にこなした凡庸な悪。作品内ではルドルフヘスもその延長線上に描かれている。おそらく作品内で1番下劣なのは奥さんだ。歩き方も最高で自分がいっぱしの何かになったよう。そう感じるのも彼女が外側に1番無関心と感じるからだろう。

ルドルフのゲロは酒ではなく罪悪感とも読めるがどうだろうか。

惜しむらくはポスターのイメージが最高でそれをあまり超えてこなかった。
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