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少女のnileのレビュー・感想・評価

少女(2017年製作の映画)
5.0
『ヴィンチェンツォ』で知ったチョン・ヨビン、あの作品の面影が1ミリもない。圧倒的だった。恐るべし。 
今までそこそこ韓国映画は見てきたがトップレベルに鮮烈。そして後味が悪い。
韓国作品で描かれるイジメの描写はなぜここまで観ている私達を苦しくさせるのだろう。フィクションであるという隙間が無さすぎて怖い。

原題の『After My Death』の通り、この物語は一人の少女の死によって始まり、もう一人の少女の死によって幕を閉じる。映画冒頭で突如主人公がクラスの皆の前で始めた手話、後半になって彼女による手話の経緯、意図、メッセージ内容が明かされる瞬間にゾッとした。手話を理解できないクラスの皆は彼女が何かしら前向きなことを言ってるのかと思って拍手をする。あの対話の断絶がヨンヒの決意を決定的なものにした。
ヨンヒの計画はギョンミンの死によって遠回りをしたがそうした全部のイレギュラーを全て呑み込み、当初の目的を完遂させようとする。
最期の日、ミンヒだけがギョンミンを止められる可能性を秘めていたが、もはやミンヒを止められるのは誰もいない。
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