はみがきしんぢ

追龍のはみがきしんぢのレビュー・感想・評価

追龍(2017年製作の映画)
3.5
ほぼ全く事前情報を入れずに見に行ったので、はぁまさかドニー・イェンがこんなヤクザな裏社会でのし上がっていくお話だとは思いもしませんでした…
冒頭から人がいっぱい出てきて名前を覚えるのが苦手なぼくはかなり混乱してしまいました。お話的にも実録物ということで、お話の着地点が予想できず登場人物の立ち位置も頭の中で整理できないままにどんどん進んでいくので付いていけなかったのですが中盤辺りでなんとか追い付けたかな…と。ただ、途中でホウの奥さんと息子さんがアレするシーンは、なんで密航みたいなことしてたんだろ…とか思ってちょっと理解が追いつかなかったです。

映像的には九龍城砦の再現度(まぁ行ったことないのでわかりませんけどw)とかすごく頑張ってたと思いますし、ジャンボジェットが低く飛ぶシーンとかはもう少しCGくささをなんとかしてほしいとは思いましたが雰囲気は良かったです。
ただあの時代の香港の海ってもっとジャンク船がいっぱい浮かんでなかったかなぁとか思ったりもしたのですが…

というか、この映画の舞台となっている時代のせいか、善人と言える登場人物が非常に少なく、誰しもが何かしらの悪行に手を染めてないと生きてはいけなかったんだろうな〜と思わせつつも、それでもホウは自分の周囲の人間には清く生きてて欲しかったんだなと感じさせるところが端々に感じられたのですが、中でもホウの弟が麻薬に手を出してしまった時に思ったのはやっぱり兄弟なんだなぁというか、ホウと同郷のこの映画でほぼ唯一の善人である警察官に「裏社会には入るな」ってあんなに注意されたのにもかかわらずヤクザになってしまったわけで、春節に挨拶に行った時のあの警官の気持ちを思うと因果なことだなぁとか思ったりしたわけです。せつない。

あとやっぱりドニー・イェンにはカンフーアクションを期待してしまうのでちょっと消化不良感が残りますね…。それとオープニングがすっごいオシャレでカッコいいな〜と思いました。以上。