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サニー/32のpenのレビュー・感想・評価

サニー/32(2018年製作の映画)
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ネットの描写や音楽の使い方に『告白』や『モテキ』のようなテイストを感じてそういう方向で進んでいくのかと思いきや、主人公の監禁状態がスタートしてから描かれる容赦のない暴力描写や集団心理によって共犯関係が築かれていく過程、そして関係性の逆転によって人間の精神が変貌していく様子が恐ろしくどす黒い。ロケ撮影の場所も雪の残る風景から寒々とした海岸に移ってから作品のジャンルが切り替わる。なんだけど映画で描かれることは作品冒頭から一貫しているから、中々に奇妙な映画になっていると思う。

暴力を振るうことを指示したり、暴力によって押さえ込んでいく怖さ、相手に説法して自己反省を強要するといった様々な描写で、個人的には若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を思い出した。というか単語は違えど「総括」的な雰囲気も感じる。
その作品で描かれてる内容のパロディのように見えなくもないのは良いのか悪いのかは分からないが、当該作品の坂井真紀を思い出してしまって、観てるこちらも複雑な気持ちになった。

役者陣は全員体当たりに暴走してて好感を持ちつつ、現代のドタバタよりも過去回想の映像が深く印象に残った。
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