Rui

シリアにてのRuiのネタバレレビュー・内容・結末

シリアにて(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 シリア内戦の中、アパートの一室に籠もる家族の様子を母親の視点で映す。いるのは女性たち、子供たち、老人のみ。舞台はこの一室に固定されるが、絶え間なく聞こえてくる銃声の音、密室でのストレスがひしひしと感じ取られ、非常に緊迫感のある90分間だった。観る者は否応なくこの一室に放り込まれます。
そこに一切の救いはなく、終わる時がくるのを待って恐怖と共にただ耐えるのみ。終わりのない24時間。絶望的な日々だが、外に一歩でも出たら狙われる。。

後半のレイプシーンが壮絶で辛かった。だがその女性を助けようとはせずに扉の向こうでじっと息を潜める他のメンバーであるが彼らもまた恐怖に怯えていた。母親も、夫が戻らないとはいえ子供たちだけでも逃してあげればいいのにと思わざるを得ないが、責めても責めきれない。彼女も必死で家族を守っている。強い女性である。いや、この状況下では誰しもが強くなるしかないのであろう。

誰も決して自分勝手な行動などしていないのに状況は一向に好転しない、むしろ悪化していくのが観ていて余計に苦しかった。

 内容も雰囲気もかなり重たくずっしりと暗い。戦闘地と比べるものではないが、避難している人々もまた極限状態にあることを知らされた。ドキュメンタリーのように現実を克明に記録した映画。重たい余韻がのしかかる。
Rui

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