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光の鎧のonoyameのレビュー・感想・評価

光の鎧(2015年製作の映画)
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アメリカの保守派の矛盾を表した作品である。「生命尊重」という信条から反中絶運動を先導してきた神父が銃社会に向き合うドキュメンタリー。
無論、私個人は反中絶運動に対して強く反対する立場だが、保守派を知る上では興味深い作品だと思う。

キリスト教の福音派は共和党支持の宗派で保守的だ。反中絶であり、銃規制反対である。しかしここに一つの矛盾が存在している。
アメリカの銃社会は憲法修正第2条「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を保持する権利は侵してはならない」に基づくが、神父は「生命尊重」と語る聖書より憲法の方が大事なのかと訴える。

しかし、武器を保持する権利への支持はあまりにも強い。その論理を飛躍し、矛盾に満ちているが、それでも銃を持ち続ける人々は非常に多い。
わかったことは、銃規制に反対する人々は他人を信用していないし、政府を信用していないし、法律を信用していないし、社会を信用していないのだ。
その思考は恐怖で埋め尽くされている。
ここで思い出すのはやはり聖書の言葉だ。「汝の隣人を愛せよ」である。私は聖書の最も有名な言葉がこの問題に対して訴えかける力強さを感じた。

アメリカの銃社会を変えるにはアメリカ市民の社会に対する考え方を変えなければならない。あまりにも根深い。
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