民間人すぱすぱ

老人ファームの民間人すぱすぱのレビュー・感想・評価

老人ファーム(2019年製作の映画)
3.7
今年劇場鑑賞64作目「老人ファーム」鑑賞。

地元、香川県出身の監督と脚本家ご兄弟の意欲作。

塩江町にてのロケで地元の我々にはよく見慣れた風景!とても嬉しい。

都会から地元に帰ってきた和彦は退院した母の面倒を見ながら老人ホームへ就職することとなる。仕事と向き合いながらも様々な制約に生き辛さを感じる。唯一自分でいられる彼女との関係にも母親は否定する。
ギリギリの状態で仕事に取り組む和彦だが、ある事が起こる。

終始、閉塞感のある展開で観てるこちらも息苦しく感じる。
それが塩江というある意味、物理的に閉鎖されたロケーションが上手く活用されている。和彦が釣り上げた魚が地面でパクパクと息苦しそうに横たわる姿が和彦と重なる。

主演の和彦を演じる半田周平さんの演技は素晴らしかった!笑顔の中にもどこか憂いを帯び姿は彼の持つ負の部分を上手く演じられている。そして物語がラストへと向かう彼の咆哮。圧巻でした。

今回の鑑賞は舞台挨拶も行われ、三野龍一監督と脚本の三野和比古ご兄弟と主演の半田周平さんと少しですがお話する機会にも恵まれた。

舞台挨拶にて監督の製作意図として老人ホームを舞台としているが、あくまでどこにでもあり得る、生き辛さや閉塞感を表現したかったと聞き、納得がいった。
少しだけ苦言を呈するならば和彦があの様になってゆく過程がもう少し丁寧に描写されていれば感情移入しやすかったのかと。
センセーショナルな中身を狙うのであればもう少しバイオレンスにドギツく振り切っても良かったのかと。素人意見で恐縮です(汗)

主演の半田周平さんには私の質問にも真摯に受け答えしていただきとても嬉しかった。とても良い人です。ファンになりました。男前だしw

郷土出身の監督兄弟と役者半田周平にはこれからも注目して次回作を楽しみに待ちたい。