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娼年のmmk34のレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
3.2
原作読んでからの視聴。セックスという題材は、小説や文章で読むと、艶っぽく、艶めかしく、美しいものだったりするけれど、ひとたび生身の肉体のぶつかり合いになると、急にAV感が出てしまい、あれ?こんなにグロテスクなものだった?となってしまいがちなので、どうなるものやらとハラハラして観ていたけれど、半分は、予想通りAVになっていた。笑 でも、あと半分は、かなり原作沿いで、私が小説読みながら、頭の中に思い描いていた世界観に、かなり近いなと感じた。

本当なら、顧客の女性の一人一人の色々な背景描写が、小説ではあって、その女性達の闇が開き、リョウくんが受け止め、心が繋がり合う感覚を、セックスシーンという形で深く、絶妙に描かれているのだけれど、映画だと、ナレーション全部にそれらの描写を入れる訳にも行かず、どうしても、ただの濡れ場シーンの連続みたいになってしまってはいたけれど、松坂桃李をはじめ、出演していた俳優陣の、キャラの再現性の高さと、演技力で、雰囲気を無理やり力技で持っていって、なんとかコメディのB級映画にはならずに収まっていた。凄く、映像で再現するのが、難しい題材を、皆さんよく頑張ったと思う。

ただ、徳馬さんのシーンと、その時のサングラスかけた謎のレイプものAV男優みたいな松坂桃李は、ギャグだった笑

要所要所に、いや、ないないそれはない(笑)っていうシーンは頻発していたけれど、松坂桃李の娼年リョウの再現度はかなりのものだった。私は松坂桃李苦手だし、彼から色気を感じたことはかつて一度もないし、この映画でも、正直色気…というよりは、ちょっとこの人つまらないセックスしそう(笑)とか思っちゃったけど、とにかく映画始まった瞬間から、彼はリョウくんだった。

リョウくんは元々、ダダ漏れる色気ムンムンのセクシーガイという設定ではなく、朴訥な中に、母性本能をくすぐる、女にしか分からない、受け身な色気を持つ男、という設定なので、それをとても上手く再現していたと思う。若干早口で声裏返るあたり、オタと中二病感出てたけど笑 それはそれとして、私の中での松坂さんの俳優としての株はこの作品で、物凄く上がった。
ちょっと今まで優等生系の、色気ないイメージ強かったから、この役やって、役の幅広がって、凄く良かったと思う。

結局どのタイプの女性にもまんべんなく需要があるのは、自信満々で、自分アピールが激しい前のめりなイケメン(一応今回ホスト役の子がその立ち位置)よりも、クールで冷たそうに見えながら、実は純粋で、何でも引かずに柔軟に受け止めてくれるしなやかな優しさ持った、静かな色気が無意識に(←大事)漏れている、若干受け身系男子なんじゃないかなと、これを観ていると、モテの真髄を考えさせられた。

面白いかどうかは別として、再現度で言ったら★4つくらいはつけたい。
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