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ファントム・スレッドのKEKEKEのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.0
- 最近見た中ではフレンチディスパッチでも触れられていたテーマで、芸術家とミューズの関係について描いた作品
- metoo以降重要なテーマでもあるんですが、寧ろ今の日本のヘラとかエロとか鬱をエモとして消費する潮流に親和性があるかもしれないと思った
- ある日突然TikTokとかTwitterのしゃばい映画紹介漫画でバズる可能性←これまじでありそう

- ミューズはアーティストにインスピレーションをもたらす存在として長い間アートに大きな影響を与えてきたが、歴史を顧みるとその関係は不均衡で不健全なことが多かった
- 今作ではこれまで一方的な関係だったアーティストとミューズの関係を現代の価値観で捉え直し、力関係と愛情のバランスさらには有害な男性性の裏で糸を引くコンプレックスや恐怖について複合的に描いている

- 芸術家とミューズの関係は今の芸能界とタレントの関係に似ているなと思った
- 芸能に身を置く人間は、有名税としてプライバシーを犠牲にしていることが多い 地位や名声と引き換えに大衆に監視されることが何故か当たり前のように罷り通る世界だ
- アルマがそうだったように、ミューズは偉大なアーティストの側近という愉悦を味わいながら、その代償として相手の気まぐれに振り回され、愛情に満たされない日々を耐え忍ぶことを強いられる

- 今作ではその不均衡な関係にアルマの忍耐の糸が切れ、毒を盛るという行為に走るのだけど正直そっからはただのメンヘラ彼女と何が違うのかよくわかんなかった
- アーティストとミューズという関係から、お互いを愛し合い必要とする関係へ
- 嫌いなバターたっぷりの毒キノコオムレツを頬張る彼から、何か美しい覚悟を感じるのは確か
- 毒を盛って相手をコントロールするという行為が、果たしてミューズとして主体性を確立することと結びつくのか私には分からない
- もしかするとそんな関係を超えた愛を描きたいのかもしれないけど、それにしてもどうなんだろう

- レイノルズがアルマのサプライズを"奇襲"と表現した一連のセリフ、あまりにも酷すぎてシリアスなシーンなのに吹き出しちゃった
- ここにミューズという存在の抱える問題が凝縮されてるし、アルマが毒を盛る契機になる最も重要なシーケンスだと思った

- 複雑なテーマで、他にも考えることが沢山ある映画なんだけど、それを掻き立てられるほどの興奮が得られていないので止めます
- ポールトーマスアンダーソンなかなか掴めないな

- ダニエル・デイ=ルイスは本当に最高ですね、ほぼ恋してる
- 彼の引退作としても感慨深い作品
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